Better your earth.

ミツバチと創る持続可能な社会

養蜂で守る地域の生物多様性と文化的景観

ミツバチは最も主要な花粉媒介者として、生物多様性の維持や農業で重要な役割を果たしています。森林生態系の維持・回復促進のほか、イチゴやアーモンド、コーヒーなどをはじめとする世界の食用作物の 75 パーセント以上で持続的な生産に貢献しています。しかし近年、農薬や害虫による病気、気候変動などの影響により世界中でその個体数が減少しており、特にミツバチと蝶の 40 パーセントは絶滅の危機に瀕しています。
こうした状況に対しブラザーインターナショナル(ドイツ)は、ブラザーソーイングマシンヨーロッパ(ドイツ)とともに地元の養蜂家の支援を受けながら、ミツバチのコロニーを維持し、年間を通して世話する活動を行っています。

関連するSDGs

自然豊かな地域社会の社会的責任を分担するプロジェクト

ブラザーインターナショナル(ドイツ)があるバート・フィルベル市は、フランクフルト市に隣接する自然豊かな地域で、ランなど多くの野花が生息する牧草地や、地元特産の飲料「アプフェルショーレ」のためのリンゴ園を有し、それらは多くの生き物に生息地を提供するビオトープとなっています。またそれらは歴史の中で文化的な景観を構成し、国家遺産にもなっています。ブラザーインターナショナル(ドイツ)では従来、地域の生態系保全のため市内を貫くニッダ河岸の清掃活動などを行っていましたが、「ブラザーグループグローバル憲章」に示された「地域社会に対する社会的・経済的・文化的責任を可能な限り分担する」という基本方針のもと、地域社会への貢献を兼ねた生態系保全活動として、養蜂プロジェクト「Bee My Brother」を始めました。

養蜂プロジェクトのはじまり

様々な選択肢から養蜂を選んだ理由は従業員とミツバチの類似性にあります。どちらも勤勉、組織的・社会的で、社会に貢献します。勤勉の象徴とされるミツバチは群れの中で巣作りや花蜜の採集、子育てなどをチームワークでこなす社会性を持ちながら、花粉の媒介者として周囲の生態系に貢献しており、ブラザーの従業員として共感するものがありました。地域社会と共生しながら貢献する活動としてミツバチの飼育が最適だったのです。
ブラザーインターナショナル(ドイツ)と、ブラザーソーイングマシンヨーロッパ(ドイツ)では、まず地元の養蜂家協会に入会し、そこで地元の養蜂家と専門知識の情報交換の機会を得るとともに、養蜂家としての社会的責任を果たすために不可欠な養蜂家賠償責任保険に加入。2022年、オフィスに隣接する果樹園に2個の養蜂箱を設置し、オフィスから見える場所でミツバチの飼育を始めました。

養蜂が従業員の成長と環境コミュニケーションにつながる

Bee My Brotherチームメンバーが巣箱内のアロアリの量を確認する様子

現在(2024年11月現在)は11人の従業員が参加し、1つの養蜂箱あたり夏には最大5万匹、冬には2万匹ものミツバチを毎週水曜日の昼休みに世話します。参加者は1年を通し養蜂と蜂蜜の収穫に関わるすべての仕事を学びますが、養蜂は定期的なチェックと病害虫からの保護が欠かせません。養蜂箱内のコロニー(蜂群)に異常がないか、女王蜂やその産卵状況に問題が無いかなどを確認します。ミツバチが凶悪なダニに寄生されていないか見分け方を学ぶ学習プログラムもあります。参加者は常に地域の生態系にも注意を払いながら、養蜂で得た知識をSNSなどを通じ他の従業員や地域社会に共有することで環境コミュニケーションを広げていきます。

ミツバチが作る蜂蜜も環境コミュニケーションに活用

ハニカムセル上のミツバチと幼虫

光合成を行う植物の成長をミツバチが促進することにより、養蜂には1コロニー(蜂群)あたり年間60トンのCO2削減効果があるとされていますが、その副産物として良質な蜂蜜も収穫できます。収穫は春と夏の年2回で、蜂の保護を優先し秋冬は行いません。毎年合計で最大40キロ程度収穫される蜂蜜は自然の恵みとして、社内の環境教育や社内外の環境コミュニケーションに有効活用されます。持続可能性証明書を取得したビジネスパートナーに小さな蜂蜜の瓶をプレゼントしたこともあります。 ブラザーインターナショナル(ドイツ)では、従業員のひとりひとりがお客様やビジネスパートナーに対しこの持続可能なプロジェクトを発信することで、地域社会とのつながりを深めながら、地域の生物多様性と文化的景観の保全に貢献しています。

SDGs POINT

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は気候変動とその影響を軽減するための緊急対策を求めています。またSDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」には、陸域生態系の保全と持続可能な利用をめざす“森林をはじめとする陸域生態系のサービスの保全、回復及び持続可能な利用を確保する”というターゲット(15.1)があります。ブラザーは養蜂によって植物の成長を促進することにより地球温暖化への影響が大きいCO2の削減に貢献するとともに、地域社会の陸域生態系のサービスを保全しその持続可能な利用をサポートしています。

この記事をSNSでシェア

この取り組みの
SDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

関連トピックスRelated Topics