

Better your earth.
太平洋に浮かぶ大小7,641もの島々からなる群島国家・フィリピン。海のアマゾンとも呼ばれる“コーラル・トライアングル”の中心に位置し、世界で最も海洋生物多様性に富んだ国の一つです。サンゴ礁生態系だけでも500種以上のサンゴと約2,400種の海洋魚類が生息し、ジンベエザメやウミガメなどの固有種の住処となっています。人々にとって海は観光業や漁業など産業の舞台であるだけでなく、交通手段であり、遊び場でもあり、生活と切り離せない身近なものになっています。
しかしフィリピンでは、海洋プラスチックごみ(以下、海洋ごみ)が深刻な社会課題となっています。国内で大量に消費されるプラスチックが、適切な処理が行われないままに河川や海洋に流出しているのです。ブラザーインダストリーズ(フィリピン)は、海岸清掃などの環境活動を起点に、人々の意識と行動の変容を促すことで、海洋ごみを削減していく取り組みを行っています。
CSR活動に取り組むブラザーインダストリーズ(フィリピン)

ブラザーインダストリーズ(フィリピン)は、1万人を超える従業員を擁する、ブラザーグループにおけるインクジェット複合機の最大製造拠点です。「関わる人すべての進歩に貢献する愉快な工場を実現する」というビジョンの下で、事業である生産活動を通じた社会貢献だけでなく、従業員参加による地域社会への直接貢献の場を設けています。公立学校で新学期前に開校準備をする”ブリガーダ・エスクエラ(学校整備週間)”に参加し地域の小学校の壁や机、椅子の補修や菜園の整備を行ったり、クリスマスには小学校や困窮児童にプレゼントを贈るなど地域の子どもたちを支援する一方で、川や海岸のゴミ清掃からマングローブの植樹活動、ウミガメの保護活動まで、フィリピンの海洋環境を守る活動を行っています。
適切に処理されなかったプラスチックごみが海洋へ
フィリピンでは、包装材やレジ袋、テイクアウト用のビニール袋などが日常生活に欠かせないものとなっています。特に、食料品や日用品を少量ずつ手軽に購入できる「サシェ」と呼ばれる小袋は、多くの家庭の暮らしを支えており、こうした便利なプラスチック製品の普及は、人口の増加とともにプラスチックごみを急速に増加させました。
プラスチックごみの急増により、その適切な処理が課題となりました。屋外にポイ捨てされたごみが水系を汚染し、排水路を詰まらせ、また分別されないまま回収されたごみはリサイクル処理を滞らせています。1999年に大気汚染対策としてごみの焼却が原則禁止され、埋立処理が義務付けられるようになってからは、処理の滞ったごみが各地の処分場や空き地に積み上げられ、その一部が風雨などによって河川や海洋に流出。生態系への影響が懸念されています。
販売会社とともに海岸清掃やマングローブ植樹活動を実施

ブラザーインダストリーズ(フィリピン)はではこうした問題に対し2022年から毎年、地方自治体や地域住民と協力し、世界海洋デーにサン・ファン海岸での海岸清掃を行っています。この活動には、同じくフィリピンに拠点を置く販売会社、ブラザーインターナショナル(フィリピン)の従業員も参加。猛烈な暑さのために早朝から始まる海岸清掃には200人以上の従業員が参加し、訳2時間の間におよそ270袋ほどの海洋ゴミを拾います。
またフィリピンは豊かなマングローブ林でも世界に知られます。マングローブは海水の混じる場所に育つ樹木の総称で、「海の森」を形成し豊かな生態系を育むとともに、地域社会を高潮や洪水の被害から守ります。しかし陸地から流出したプラスチックごみはその生態系も脅かす事態に。ここでも両社の従業員が地域社会や地元の海岸警備隊と協力し、ごみの収集を行ったのちにマングローブを植樹。生態系の保全や災害への強靱さ(レジリエンス)の強化に貢献しています。
自分たちの行動を変えることで、多くの人の行動を変えられる

従業員が参加する海岸清掃やマングローブの植樹活動には、環境や地域社会への直接的な貢献だけでなく、もう一つ大切な目的があります。それは従業員の意識と行動を変えていくことです。海洋ごみ問題の現実や影響を知ったうえで、各自が自分にできることを考え、日常の行動に移していくことを重視しています。
ブラザーインダストリーズ(フィリピン)では、海洋ごみ問題への理解を深め、その学びを家族や友人にも共有し、海洋ごみ削減につながる活動の輪を広げていくための「行動宣言」を毎年行っています。ここで働く1万人を超える従業員の「行動」が変われば、その家族や友人に広がり、10万人の行動が変わる可能性があります。
海岸清掃や植樹活動で得た学びは、ポイ捨てをしないことやごみの分別だけでなく、モノの再利用、空調やトイレ、紙の使い方など、日々の選択を変えるきっかけとなります。
ひとりひとりが海洋ごみ問題に関心を持ち、そこで生まれた小さな選択が職場の文化を変え、地域全体の行動を変え、次の世代の常識をつくる。ここから始まる連鎖によって、次の世代に豊かな生態系ときれいな海、そして明るい未来をつないでいく。ブラザーインダストリーズ(フィリピン)の挑戦は、これからも続きます。
碧い海の未来をつなぐ ~ブラザーインダストリーズフィリピンの挑戦~
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」には、海洋生物多様性を保全し、"あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する "というターゲット(14.1)が含まれています。またSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」には、“廃棄物の管理に特別な注意を払い、一人当たりの環境上の悪影響を軽減する”というターゲット(11.6)が含まれています。 ブラザーは、従業員による河川や海岸の清掃活動を通じて海洋ごみの直接的な削減に取り組むとともにこうした活動や行動宣言をきっかけに、人々の意識や行動の変容を周囲に広げていくことを目指しています。ごみのポイ捨てをやめ、分別や再利用を徹底するなど、身近な取り組みを家族や友人などと共有し、行動の変化を促すことで、海洋ごみの根本的な問題解消を図り、フィリピンの持続可能な未来に貢献しています。
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