安定した電力供給のために、さまざまな発電方法が模索されていますが、なんと「うどん」で発電をしよう!という取り組みがあるんです。場所は、さぬきうどんで有名な香川県。すでに10年近いというこの取り組みは、発電だけでなく、うどんを無駄なく循環させるプロジェクトへと活動を発展させています。
うどんまるごと循環コンソーシアム事務局長の久米 伸介さんにお話をうかがいました。
うどんで発電・その発想のきっかけは
どなたかが計算した数字によると、香川県民が食べるうどんは、ひとり年間で平均およそ220玉。それでも、製造されたうどん、全て食べきっているわけではありません(笑)
今からおよそ10年前は、ひとつの工場だけでも1日4トン、年間1500トンから2000トンのさぬきうどんが廃棄されていました。さぬきうどんは「コシ」が命。時間がたってしまってコシがなくなった麺や、工場などで製造の際に出るきれはしなどを、やむなく捨てていたんです。これらを「何とかできないか」と相談をうけたのが、プロジェクトを立ち上げるきっかけでした。
廃棄されたうどんを細かく裁断し、それを発酵させてガスを発生させ、ガスを燃やして発電します。最初は、エタノール発酵で行っていましたが、最近ではメタンガスを主成分で取り出すメタン発酵で行っています。発電量は、年間およそ8万5千キロワットアワー。一般のご家庭の40~50軒分の電力を賄えるくらいにはなっています。売電することで、年間平均800万円ほどの収入にもなります。
うどんをまるごと循環させる
廃棄うどんを利用して発電をするというだけでも、問題解決のひとつになったとは思うんですが、発電用のガスを取り出したあとに、まだ残りかすが大量にでていました。さらにそれを何とか使えないかと考え、肥料にすることにしました。液体肥料や固形肥料にして、小麦畑にまくんです。そうして栽培した小麦を使って、またうどんをつくる……。こうして「うどんまるごと循環」というプロジェクトへと発展してきました。
小麦は、11月に種をまいて、5月末に収穫します。地元の農家と協力して、それぞれのタイミングで一般の方にも参加してもらっています。さらに製粉からうどんを打つところまで、一連の流れを体験してもらうエコツアーなども企画。うどんの循環を通して環境にも興味をもってもらえればと考えています。
うどんを愛する県民だからこそ
「うどんまるごと循環コンソーシアム」では、食品ロス削減にも取り組んでいます。
廃棄うどんから発電をすることに、評価はいただいていますが、そもそもお店や工場から排出される廃棄物を減らすことが大切ではないかと、その方法も考え続けてきました。例えば、土産物用などに製造される「ゆでさぬきうどん」。どうしても製造工程の中で規定のグラム数に達しなかった商品が出ることがあるそうで、たとえ5グラムの差でもそうした商品はそのまま廃棄され、焼却されたりしていたんです。それはあまりにも、もったいない。そうした規定外となった商品を預かって子ども食堂などに寄付するなど、フードバンクとしての活動も4年前から始めました。
これからも我々の活動に賛同してくれるうどん工場やうどん店などをどんどん増やして、「うどんからうどんを作る」という地域循環を確固たるものにしていきたいと思っています。
うどんまるごと循環コンソーシアム 事務局長 久米 伸介さん
この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。
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