2023.03.27

金箔工芸AULEPUS(アウレプス)
中沢 幸弘・中沢 由美さんのSDGs

仏壇飾りからアクセサリー

  • #仏壇をアップサイクル
  • #技術を後世に

国の伝統工芸品にも指定されている名古屋仏壇。しかし、最近は仏壇のある家は減り、中には処分を仏壇店に頼む人が増えているそうです。そんな仏壇を新しい形でよみがえらせることができないかと取り組んでいる、名古屋仏壇の伝統工芸士 中沢幸弘さんとその妻 由美さんにお話をうかがいました。

仏壇をアップサイクルするきっかけ

昔のように新しく名古屋仏壇をつくる機会が減り、最近は、家具調の小さな仏壇に買い替えたいので、これまでお祀りしてきた仏壇を処分したいという方も増えてきました。
なんとか、想い出としてその一部でも家に置いておいてもらえるものを作れないか、名古屋仏壇の技術を残す方法はないものかとずっと考えていたんです。と幸弘さん。
一方妻の由美さんは、仏壇がない家に育ったこともあり、仏壇に飾られている仏具のデザインや金箔の美しさに素直に魅せられたといいます。使っているのは、仏壇に吊り下げる仏具の一部「瓔珞(ようらく)」という部分。アクセサリーづくりを趣味にしていた由美さんは、自分のために「瓔珞」を使ってネックレスを作ってつけていたところ、たまたま入ったギャラリーのオーナーの目に留まりオーダーされたのが、本格的にアクセサリーをつくるきっかけになったのだそうです。

廃棄される仏壇のパーツだからこそ意義がある

ボクは40年以上も仏壇づくりの業界にいますからね。いくらアクセサリーが素敵でも、「仏壇からつくった」というと、正直どう思われるのかな、と最初は少し心配だったんですと幸弘さん。ところが、そのギャラリーのオーナーが「廃棄される仏壇を使うことに意義がある。そこが素敵」と背中をおしてくれたといいます。
心配はもう一つ。仏具は飾るのが基本で、あまり触らないものですが、アクセサリーとなると、皮膚や衣類への摩擦や接触で金箔がはがれたりしないのか? 金箔は1万分の1ミリというものすごい薄さで貼るんですね。試作品を作って耐久試験も行いました。こうして、昨年(2021年)末から「金箔工芸アウレプス」という名前で、仏壇からアップサイクルしたアクセサリーを製造、販売することに。見た目の金の重厚さをいい意味で裏切る、わずか3gを切る軽さも魅力です。

名古屋仏壇の技術を後世に

ブランドの名前に「金箔工芸」とつけたのは、名古屋仏壇の金箔工芸の技術を後世に伝えたいと考えたからです。名古屋仏壇の始まりは今から300年以上前。愛知県は、良質な木材が手に入ることもあって、江戸から腕のいい職人がたくさん集まってきて神社仏閣の建築に携わりました。だから全国的にも神社仏閣が多いんです。その技術を使って各家庭でも気軽にお参りができるようにと、仏壇が発展したといわれています。仏壇は、木地や塗り、蒔絵、金箔などさまざまな職人が技術を結集させて作っていますが、ボクは、その中の箔押しと組みたてをする職人になります。仏壇を作らないからといってこうした技術が廃れてしまったら、たくさんある神社仏閣の修復もできなくなってしまうんです。だから、このアクセサリーを入口に、名古屋仏壇に伝えられている技術を知ってもらえたらうれしいですね。今後は他の職人とも連携して、アクセサリーのレパートリーを増やしていきたいと考えています。

取材先

金箔工芸AULEPUS(アウレプス)
中沢 幸弘・中沢 由美さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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