2023.04.04

素材デザイナー 村上 結輝さんのSDGs

アップサイクルアート

2023.04.04

  • #アップサイクル
  • #ゴミ箱が「素材箱」に

カフェオレが、素敵なランプシェードや花瓶になったり、バナナを剥いたあとの皮がレザーの小銭入れになったり。そんな廃棄されてしまう身近なものを材料に、新たな素材を生み出すクリエイターがいます。素材デザイナーの村上結輝(むらかみゆうき)さんにアップサイクルアート誕生のきっかけとこれからをうかがいました。

廃棄されるコーヒーかすで新素材

カフェオレベース

原料に廃棄されるコーヒーかすや廃棄される牛乳を使って、「カフェオレベース」という新たな素材を作り作品を制作しています。牛乳から接着剤を作ることができるので、廃棄されるコーヒーかすを固めて、ブロック素材をつくるような感じです。
毎朝、ペーパードリップでコーヒーを入れるんですが、当然毎日コーヒーかすを捨てることになりますよね。それがすごくもったいないなあ、と。そんな自分の生活の中から自然にアイディアは生まれました。調べてみると、すでに海外でコーヒーかすを使ったプロダクトはあったんですが、どれも合成樹脂で固めていたんですね。もっとコーヒーかすに寄り添った接着剤がないかと探していて、牛乳を見つけました。全て自然由来の材料なので、最後は土に還すことができます。カフェオレのようなあたたかな色味も魅力だと思います。花瓶やプランター、ランプシェードなどの他に、最近はカフェで使うイスや壁材に使うことなども考えています。

コロナ禍がきっかけ

バナナの皮からヴィーガンレザーを作ったのが、最初のアップサイクルでの素材開発でした。名古屋芸術大学に在籍していたんですが、卒業制作に取り掛かる年に、ちょうど新型コロナウィルスの感染が拡大。自宅待機が長くなる中で、自分の生活や消費行動を見直すことになったんです。そこで初めて、ゴミをどうやったら出さないようにできるのか、減らせるのか、と考えたのがそもそものきっかけでした。初めての素材開発で、トライ&エラーの繰り返しではありましたが、結果、それが卒業制作になりました。

素材デザイナーとして

村上結輝(むらかみゆうき)さん

今、長野県の辰野町の空き家で滞在制作をしているんですが、空き家で廃棄される石膏ボードを自分で解体するところから始めて、その石膏ボードで「リ石膏」というブロック素材を作り、その「リ石膏」で家具を製作しようと考えています。どの家にも壁の奥のいたるところに石膏ボードは使われているので、家を解体するときにはすごい量が出るんです。産業廃棄物になりますから、これを活用できるのはとても意味のあることだと思っています。
ボク一人だけでは、アップサイクルの量にも限界があります。そこで最近、「上回転研究所」という廃棄問題に関心をもっている若者や企業などを巻き込んでアップサイクルコミュニティを立ち上げました。難しい専門知識がなくても、誰でもアップサイクルや素材開発ができるようなコミュニティを作って、ゆくゆくは「廃棄」の概念を変えていきたいなと思っています。「ゴミ」だと思ったときに「ゴミ」になるんです。それが活用できる「素材」だと思えば、ゴミ箱は「素材箱」になりますよね。そんな風に考える人を一人でも増やせればいいなと思っています。

取材先

素材デザイナー 村上 結輝さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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