2023.06.20

東山動植物園 飼育第一係 谷 佳明さんのSDGs

マレーバク

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2023.06.20

昨年(2022年)11月、東山動植物園にやってきたメスのマレーバク、「コモレ」。翌12月から一般公開が始まり、その可愛い姿に早速人気が集まっています。マレーバクは絶滅危惧種。
東山動植物園 飼育第一係 谷 佳明(たに よしあき)さんにマレーバクのお話をうかがいました。

マレーバクの生態

提供:名古屋市東山動植物園

マレーバクの足の指は、前足4本、後ろ足本。馬やサイと同じ、指が奇数の動物の仲間です。特徴は白と黒の身体の色と、ちょっとだけ伸びた鼻。この伸びた鼻には骨はありません。筋肉なんです。触ってみるとぷ3にぷにしています(笑) エサを探す時などは、この鼻をとても細かく動かします。ゾウほどは長くないですが、この鼻のおかげで少し高い位置の木の枝や草を食べることができます。水に潜る事も得意で、その時は鼻を水面から出して上手に息をするんですよ。野生のマレーバクはインドネシアやマレーシアなどの東南アジアの熱帯雨林や河川の周辺で生活しています。夜行性で、白黒の模様は森の中で天敵から姿を隠すのに適しているといわれています。赤ちゃんの時は茶色の身体で全体に白いまだら模様の「ウリ坊」なんですが、半年くらいたつと少しずつ変化をはじめ、1年くらいですっかり大人の色あいにかわります。

絶滅の危機に瀕しているマレーバク

提供:名古屋市東山動植物園

野生のマレーバクは今、絶滅の危機に瀕しているといわれていますが、それは私たちの生活と無関係ではありません。植物性油脂の原料になるパーム油を採取するためにあぶらやしの木を植樹したプランテーションがつくられ、森林が伐採されているんです。それによって彼らの生息地が分断されてしまい、繁殖の機会が極端に少なくなってしまったことが、個体数を減らしてしまった原因のひとつです。レッドリストを作っているIUCN(国際自然保護連合)によると、野生では現在2500頭程度しかいないといわれています。

動物園での繁殖の期待

東山動植物園 飼育第一係 谷 佳明さん(提供:名古屋市東山動植物園)

現在(放送時2023年1月)日本の動物園では、13施設34頭(オス18頭、メス16頭)のマレーバクが飼育されています。JAZA(日本動物園水族館協会)が司令塔となって、国内のマレーバクの繁殖の調整をしています。
東山にも11月28日に「コモレ」(メス2歳)が、群馬サファリパークからやってきました。最初はちょっと緊張していたようですが、2~3日経つとリンゴだったりバナナだったり、あとは干し草ですね、そういったものもだんだん食べるようになって、落ち着いてきました。マレーバクの繁殖は4~5歳くらいから可能です。コモレはまだ2歳と若いですが、元気に育っていつか繁殖に参加してくれることを期待しています。

取材先

東山動植物園 飼育第一係 谷 佳明さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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