2023.06.27

地域おこし協力隊 河合 祐樹さんのSDGs

ヒトイキ村

2023.06.27

岐阜市の北に位置する山県(やまがた)市。その北部にある北山地区に、昨年(2022年)11月、地域全体を一つの宿として活用する「ヒトイキ村」が開村しました。宿泊や食事、サウナなどさまざまな施設を地域ぐるみで連携しながら運営するというユニークな試み。発起人の委託型地域おこし協力隊 河合 祐樹(かわい ゆうき)さんにお話しをうかがいました。

集落をまるごと宿にする

地域全体をひとつの「ホテル」と仮想するんですね。例えば、普通のホテルだったら受付があって、「何階のお部屋に泊まってください」とか、「何階にレストランがあって、お土産売り場があって、何階にはお風呂とサウナがありますよ」って案内されますよね。そういう機能を「タテ」じゃなくて地域全体に「面」でちりばめて、地域をお客さんにぐるりと周回してもらおうというスタイルです。
具体的には、昨年(2022年)の8月に古民家を改装したゲストハウスがオープンしたんですけど、宿泊はそこで。食べるところは、廃校の小学校を改装した農家レストランをおばちゃんたちがやっているので、そこで。Uターンで戻ってきた方がDIYで作ったカフェがあって、そこでおいしい珈琲が楽しめますし、仕事をしながら休暇を取りたい人むけに、Wi-Fi完備のコワーキングスペース(昨年6月古民家を改装してオープン)もあります。そこでイベントもできますし、テントサウナがおいてあるので、サウナも楽しめます。さらに下にはすごくきれいな川が流れてる……っていうのがこの「村ホテル」の機能なんです。

限界集落を持続可能な地域に

もともとボクはアウトドアライターをやっていて、この山県市にある神崎川と円原(えんばら)川の風景にほれ込んだのが、この地域と縁ができたきっかけです。とにかく水の色が美しいし、光のシャワーが降り注ぐような幻想的な風景にも出会えます。しかし、SNSの普及で少しずつ知られるようになると、川原でBBQしてゴミをそのままにしていく人や、住民の敷地に勝手に車を止めていく人などもでてきたんですね。そこで、自然を守るのはもちろんですが「来る人も堂々と楽しめて、暮らしている人もちゃんと守れるしくみをなんとかつくりたいな」と。この北山エリアは、限界集落といわれるような地域で、中心地でも住民は50人ほど。ほとんどが70~80代なんです。なんとかこの地域に持続可能なしくみをつくって、残していきたいと考えました。

サードプレイス・ヒトイキ村

イタリアに「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型の宿)」というやり方があるんです。空き家を泊まれるように整備して、その地域のレストランやお土産物屋さんなどを巡回してもらって、地域全体で利益や雇用を生んでいこうというもので、発想はそこから。
地域の方たちも最初は、「他から来た人間がなんか怪しいことはじめたぞ(笑)」と構えられたんですけど。コワーキングスペースをみなさんに開放して、コンサートを開いたり足もみ体験をしてもらったりして、少しずつ理解してもらっていきました。今は地域のおばあちゃんたちが講師となって、地元のみそやお茶などを作る体験ツアーを企画、みなさんにもふれあいながら働き甲斐も見つけてもらっています。訪れる人には、「ヒトイキ村」を移住先というより、家でも職場でもない「第三の場所(サードプレイス)」としてファンになってもらえたらいいなと考えています。とにかくここは「ヒトイキ」いれて、心を整えるには絶好の場所なんです。

取材先

地域おこし協力隊 河合 祐樹さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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