2023.07.04

山勝染工株式会社 中村 剛大さんのSDGs

名古屋黒紋付染でSDGs

2023.07.04

ちょっと色褪せたり、シミがついてしまったりした洋服。捨ててしまったり、箪笥のこやしになったりしていませんか?そんな洋服を江戸時代から続く伝統技術でよみがえらせるサービスが注目を集めています。名古屋黒紋付染の老舗「山勝染工株式会社」の社長 中村 剛大(たけひろ)さんにお話をうかがいました。

江戸時代から続く名古屋黒紋付染

中村 剛大さん

名古屋黒紋付染は、1610年、尾張藩の小坂井新左衛門が、藩の幟や旗などを製造したのがはじまりといわれています。尾張徳川家のお膝下、当時の武士や町人、多くの人々の衣服を供給することで、染織工芸の一部として発展しました。黒紋付は、結婚式やお葬式などのときに着る黒い紋のついた着物で、つやのある上品な漆黒が名古屋黒紋付染の特徴です。江戸時代の終わりには、黒紋付染だけでなく、名古屋城の近くに1300人もの染めの職人がいたという記録もあります。私たちは西区に工房を構えていますが、かつては100件近くあった染物屋も、着物の需要が減るにしたがってずいぶん数を減らしてしまいました。

「染め替え」という着物文化を洋服に

着物には、もともと「染め替え」という文化があります。しみがついたり色褪せた着物も、染め替え、仕立て直して、新しくよみがえらせ長く愛用してきました。そんな技術を洋服にも応用できないかと考えたのがきっかけです。汚れたり、着古したり、色が気に入らなくなった洋服を捨てるのではなく、染め替えることで新たによみがえらせることができるはずだと。地元に根付く伝統技術を見直してもらいたいという気持ちもありました。5年ほど前から、愛知県内のクリーニング店と連携して、洋服の再生サービスとしてスタートさせました。Tシャツは3000円、ジーンズやスカートなどは4000円から。洋服の重さやボタンの付け替えなどが染め替えの際に必要になる場合は、別途料金が必要になります。

染め替えが当たり前になるように…

細々とスタートさせた洋服の染め替えですが、最近は、SDGsの考え方が浸透してきたのか、需要が増えてきました。昨年は1年間で1000件の持ち込みをいただきました。ハイブランドの洋服を持ち込む方も、最近はいらっしゃいます。
Tシャツからコートまで、基本的に天然の素材なら何でもOKです。白地のものはもちろんですが、黒地でも日焼けして少し茶色になったものも黒染めすることで、つややかな味わい深い黒色になったり、化学繊維の縫い糸が、染残りとなって白い模様として新たなデザインになったり。「自分だけの一点もの」がうまれるおもしろさや楽しみもあります。ホームページからも受け付けていますが、これからは、クリーニング店、リフォーム店やセレクトショップなどとも連携して、もっと洋服の染め替えを浸透させていきたいですね。

<洋服の染め替えサービス 『ザ・カラーリング』>
https://yamakatu.co.jp/staining
(料金や染め替え商品についてはこちらをご覧下さい)

取材先

山勝染工株式会社 中村 剛大さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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