夏休み、海水浴の計画を立てている方も多いんじゃないでしょうか。でも、車いすで生活している方は、簡単に海で泳いだり、波打ち際に行けたり…とはいかないのが現実。
そこで、障がいのあるなしにかかわらず海を楽しめるようにと、「海のバリアフリー」を目指して活動しているのが、NPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクト。代表の木戸 俊介さんに、活動の内容についてうかがいました。
海のバリアフリーはどうやって?

海岸は砂地ですし、車いすの方が自力で波打ち際まで行くのはすごく難しい。そこで僕たちが使っているアイテムが2つあります。1つが「ビーチマット」。幅1.5m、長さが10mのカーペット状のビーチマットをいくつもつなぎあわせて波打ち際まで敷き、その上を自分の車いすで移動してもらうんです。もう1つが「水陸両用アウトドア車いす」「ヒッポキャンプ(仏語でタツノオトシゴの意味)」というんですが、これに乗るとそのまま海に入って浮けるんです。半分くらい身体が浮いた状態になって、健常者がぷかぷか海水浴してるような感じが体験できます。車いすの方はこれまで「海に浸かって遊ぶ」という選択肢はなかなかなかったわけです。人生で初めて海水浴をした女の子(当時小学生)は、笑顔が爆発。その笑顔につられて思わずご家族も服のまま一緒に海へ入ちゃった!なんてこともありました。海に入ったことで言葉にもできないような表情がでてくるっていうのが、僕らとしてはやりがいを感じるところではありますね。
海のバリアフリーを目指したきっかけ

7年前に僕自身が交通事故でけがをして、車いす生活になったんです。約半年間、オーストラリアのゴールドコーストでリハビリをしたんですが、せっかくきれいなビーチにいっても砂浜の手前で遠くの波打ち際を眺めているだけでした。ある時、今僕が使っている「ビーチマット」に出会って、こんなに気軽に安心して海が楽しめるんだということを知ったんです。「これは絶対日本に持って帰りたい!」と思って、神戸の須磨海岸で始めたのが活動のきっかけです。今年で5年目。現在、延べ20の県、23か所のビーチのバリアフリー化を進めてきました。(2022年放送時点)全国の海岸にビーチマットの貸し出しをするだけじゃなく、どうやったら同じ様な活動ができるか、講習会も開いています。ビーチマットやヒッポキャンプの扱い方はもちろんですが、障がい者のケアや安全管理なども大切で、座学もふくめて経験を通して伝えさせてもらっています。
いつか日本中の海岸がバリアフリーに

課題は大きく2つあります。まずは、障がいのあるなしにかかわらず海を楽しめる方法があるということを、まだまだ知らない人が多いこと。頑張ってみんなで抱えなきゃいけないって思っている人がほとんどです。ぜひこうしたメディアを通じて多くの人に知ってもらいたいです。でも、知ったとしても地元にバリアフリーのビーチがなければ、お金と時間をかけて遠くまでいかなきゃいけないですよね。そのためにも日本各地のビーチが無理をせずに持続可能な形で同じ様な活動をしてくれる、っていうのが一番大事だと思うので、そのための支援をつづけていきたいと思っています。日本は海に囲まれています。ビーチだらけですよ(笑)
NPO法人 須磨ユニバーサルビーチプロジェクト 代表 木戸 俊介さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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