2023.09.19

東山動植物園 飼育第一係 木村 勝さんのSDGs

アオキコンゴウインコ

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2023.09.19

毎月一回、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてて紹介していますが、今回初めて「鳥」にスポットをあてます。アオキコンゴウインコ。日本では東山動植物園でしか見られないそうなんですが、それには深い理由がありました。東山動植物園 飼育第一係 木村 勝さんにお話をうかがいます。

アオキコンゴウインコってどんな鳥?

コンゴウインコの仲間で、全体的には青色で腹の色が黄色の鮮やかなインコです。コンゴウというのは、「混合」ではなくて、ダイヤモンドを意味する「金剛」からついたそうで、命名者は美しくて貴重な印象をうけたんだと思います。ルリコンゴウというそっくりなインコがいるんですが、アオキのほうが一回り小さいです。

南米のボリビアのサバンナや森林、マングローブ林などで生活しています。野生下では木の実、花、芽、木の樹液だとかそういうものも食べています。例えば大きなヤシの実などは、果肉だけでなく、中の種を食べたり、液もすったりもしています。
一夫一妻のつがいと、その仲間の家族群、もしくは小グループ(5~6羽)で暮らしているようです。ペアを組んだら一生変えないといわれています。大型インコの仲間なので結構長生きです。寿命は40~50年くらいだといわれています。

絶滅の危機に瀕している理由は…

東山動植物園 飼育第一係 木村 勝さん

昔は500羽くらいいると物の本には書いてありました。私たちも、なかなか文献などでしか情報が入らないものですから。一時は50羽くらいまでに減ったと言われていますが、現在では100羽から130羽くらいで落ち着いたようです。

原因は、やはり森林伐採による環境の変化ですね。巣を作れる大木がなくなったことは大きいと思います。また、観た通りとてもきれいな鳥ですので、ペットとして飼うためや、美しい羽を狙って密猟されたり、現地では、祭りの民族衣装などにこの羽を使うために獲られたりすることも多かったようです。

密輸入を保護されたペア

東山動植物園では、オスとメスのつがいで2001年から飼育しています。20年以上になりますね。掃除のために柵に入ると、飼育係の服を引っ張ってきたり、背中に乗ってきたり、信頼関係ができて来ればひとなつっこいかわいい面もあります。
実はこのアオキコンゴウインコのペアは日本に密輸入された個体で、その時に東山が保護を受け入れたものなんです。現在日本の動物園で東山でしか飼育していないのはそのためです。このように貴重種の動物たちを、密輸だとかペットの飼育放棄だとかで動物園が保護することがあります。アオキコンゴウインコを通してこういうことが行われている、ということを知っていただければ。きれいだとかペットでかわいいなというだけではなく、こういった貴重種が動物園で飼育されていることの背景に、「何があるのか」ということも考えていただきたいなと思っています。

施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1

取材先

東山動植物園 飼育第一係 木村 勝さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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