2023.09.26

株式会社クラタペッパー代表 倉田 浩伸さんのSDGs

たった3本の苗からの復活!カンボジアの胡椒

2023.09.26

中世から1960年代まで「世界一おいしい」といわれていたカンボジアの胡椒。1970年代の内戦の影響で畑も作り手もいなくなり絶滅しかけていたところを、たった3本の苗から復活させた人がいます。クラタペッパーの代表 倉田 浩伸さん。カンボジアの胡椒の魅力を、収穫真っ盛りの現地から伝えていただきました。

カンボジアの胡椒のおいしさの秘訣は

カンボジアの胡椒はちょうど今、2月~3月が収穫時期。前の年の6~7月に花が咲き、実が5ミリ~6ミリの大きさになるまでゆっくり8か月かけて育っていきます。
今年の出来は上々です。胡椒は香りを高めるために、収穫後に紫外線を含む低温でじっくりと天日乾燥させるんですが、これがおいしさの要因のひとつ。カンボジアは、2月末頃から乾季の半ばになり、少しずつ暑さが増してきます。弊社の畑があるコッコン州スエラアンバルの農場は酷暑の真っ最中で、日中の気温が40度を超えることはざらですが、これがまさに天日干しに最適の環境で、雨季が始まる4月中旬までには作業がすべて完了します。カンボジアの気候と700年も前から行われてきた胡椒栽培の作業がぴったりマッチしているんですね。

カンボジア胡椒との出会い

倉田 浩伸さん

1992年にボランティアで初めてカンボジアへ入りました。内戦で壊滅的な状態になったにも拘わらず、カンボジアの方たちはみなさん笑顔で「生きる」という力に満ちていて心を打たれました。単なる支援ではなく「共に社会を作るお手伝いができないか」と考え、内戦前のカンボジアについて調べたところ、その昔、カンボジアの胡椒は世界的に有名だったことを知りました。当時市場には全然出回ってはいなかったのですが、かつて生産地だったところを直接めぐって調べていくと、かろうじて戦火を逃れた数本の苗木を大切に育てている農家を見つけたんです。そこで、その農家のおじいさんから伝統の農法を少しずつ教えてもらい、息子さんと「一緒にやろうか。カンボジアの胡椒をもう一度有名にしよう!」と始めたのがそもそものきっかけです。

今や生産能力は世界トップ5に

もちろん農薬や化学肥料は使いません。700年前から試行錯誤で生み出されてきた伝統を守りながら、さらに気候変動にあわせながら、いかに自然とともに育てていくか。
2011年には、カンボジアで初のヨーロッパと同規格のオーガニック認証をカンボジア・オーガニック協会から取得しました。スタートさせた1995年当時は、カンボジアの胡椒の生産は全土でわずか20トンほどでしたが、今はおよそ2万トン。(日本人が1年に消費する胡椒の量は9千トンくらい)生産農家の数も30世帯から4万世帯に。この30年で1000倍になりました。今や生産能力は世界でトップ5に入ります。
今まで「カンボジアといえばアンコールワット」みたいなイメージしかなかったかもしれませんが、そこに「世界一の味の胡椒があるんだよ」とカンボジアの人たちが自慢してくれるようになりました。地元の人たちが誇りに思ってくれると、産業としての地位もあがりますし、働く人たちの所得もあがります。これからもカンボジアの胡椒を世界の人たちにもっと知ってもらいたいですし、カンボジアの若い人たちに、自然とともに生産していくことの大切さを伝えていきたいと思っています。

取材先

株式会社クラタペッパー代表 倉田 浩伸さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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