2023.10.10

南山大学経営学部川北ゼミ 田中 なつ子さん、中山 絵里加さん、市川 雄大さんのSDGs

視覚に障がいのある人もない人も一緒に楽しめるゲーム

2023.10.10

「視覚に障がいのある人もない人も一緒にカードゲームを楽しめたら」そんな発想から生まれたカードゲーム「タッチャレ」。開発したのは、南山大学経営学部の3年生です。川北真紀子教授のもとで、マーケティングや商品開発などを研究中の田中なつ子さん、中山絵里加さん、市川雄大さんに、ゼミの研究から生まれたゲームについて詳しくうかがいました。

「タッチャレ」に込めた想い

市川 雄大さん

視覚に障がいをもつ叔父がいる市川さん。「目が見えないというだけで、幼い頃、叔父と一緒に遊べなくてすごく哀しかったんです」その想いが開発のきっかけになりました。
「見える人」はどうしても視覚に頼りがち。「触る」という感覚で、見える人と見えない人の困難にチャレンジしよう、という意味をこめて「タッチ&チャレンジ」から「タッチャレ」という名前をつけました。
カードの大きさは、トランプと全く同じ。それぞれの表面に「ざらざら」「つるつる」「でこぼこ」「ふわふわ」と4種類の手触りの違う紙でつくった丸、バツ、三角、四角のマークを張り付けてあります。手触りとマークの組みあわせは16種類。それぞれ2枚ずつで、カードの総数は32枚。他にマークのないジョーカーがあります。カードを視覚的な記憶に頼らずに暗記できるようにしました。「ババ抜き」「豚のしっぽ」「カルテット」というゲームが楽しめます。

開発の中でのさまざまな「気づき」

開発にあたって、視覚障がい者団体「さくらんぼ」や岡崎の盲学校の生徒さんたちに体験してもらって意見をうかがい、何度も改良を重ねました。例えばマークの大きさ。最初は「大きいほうがわかりやすいのかな」と勝手に思っていたんですが、「小さいほうがわかりやすい」と言われはっとしました。点字はそこまで大きくないし、マークが大きいとなぞるのに時間がかかるんですね。ですから、マークの大きさは親指に収まるくらいの大きさにしました。また、マークの場所も、最初は真ん中につけていたんですが、カードの下側にしたほうが、カードを持ったときに触りやすいという意見をいただき、さらに一つではなく両端につけたほうが、カードを何枚も持ったときに、重なっても触れることができる、などいろんな気づきがありました。
「つるつる」「ざらざら」などのマークに使う紙も、紙の専門店に3人で足を運んで、触り心地を確かめながら選びました。

商品企画を競うイベントで優勝。商品化へ

左から中山 絵里加さん、田中 なつ子さん、市川 雄大さん

この「タッチャレ」が、昨年(2022年)12月に全国の大学のゼミが商品企画を競うイベントで優勝。大阪の印刷会社と協力して、商品の開発を進めることになっています。年内の販売を目指していますが、それまでに体験会を開いて多くの人にアドバイスをいただき、ブラッシュアップできればと考えています。視覚障碍者は日本で30万人、世界では2億人いると言われています。世界人口は80億人。そのすべての人がタッチャレで遊ぶことで、視覚障がい者への理解を深める機会になり、障がいの垣根を取り払うことができたとしたらとてもうれしいです。

取材先

南山大学経営学部川北ゼミ 田中 なつ子さん、中山 絵里加さん、市川 雄大さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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