頭だけでなく地球も守るヘルメット。その名も「HOTAMET(ホタメット)」
なぜ地球も守るのかというと、ヘルメットに廃棄されたホタテの貝殻を使っているんです。開発に携わった甲子化学工業株式会社 企画開発部 部長の南原 徹也さんにお話をうかがいました。
年間20万トンも廃棄されるホタテの貝殻

北海道でホタテの貝殻が廃棄物として大量に処理されずに困っているという話を聞き、我々が持っている技術でなんとか解決できないかと考えたのが開発のスタートでした。日本全体で見ると年間20万トン。廃棄量が多いため、自然に戻るにも時間がかかりすぎるので、そのまま放置しておくわけにはいきません。それで埋め立てたり、焼却したりしてきたんですが、環境への影響や堆積場所の確保なども大きな問題でした。もともと貝殻は貝が自分の身を守るための素材ですから、今度は人間の身を守るもの(ヘルメット)を作れないかなと考えたわけです。
自然の知恵もデザインに生かす

廃棄されていた貝殻と廃棄されていたプラスチック、これらをベースに全く新しい素材「エコプラスチック」を開発し、ヘルメットをつくりました。ホタテの貝殻を混ぜる量にもよるんですが、強度が増すというメリットとともに、新品のプラスチックを100%利用するのに対して、およそ50%のCO2の削減になっています。またホタテの貝殻は、成長するときに周りのCO2を吸収していますので、間接的にCO2の削減にもつながっていると思います。 自然界の仕組みを応用した技術開発を「バイオミミクリー」と言いますが、「HOTAMET」は見た目もホタテを模しています。ホタテの貝殻は表面が細かいウエーブ状になっていて、これは石がぶつかってきたりする時に身を守れるよう、自然界がつくった強度をあげる仕組み。この形状をデザインに応用しました。
日常に溶け込むヘルメットに

南原 徹也さん
従来のヘルメットはどうしても「工事色」が強いといいますか…。非常時に少しでも明るい気持ちになってもらいたいと、色も工夫しました。5色の展開で、サンセットピンク、サンドクリーム、オーシャンブルーなど海を意識しました。海の環境を守っていくという姿勢をいちいち説明しなくても、デザインや色から伝わってほしいという気持ちも込めています。防災用品としてはもちろんですが、自転車のヘルメット着用が努力義務化になったこともあり、より通気性をアップさせて日常的に着用してもらえるようなものを考えていきたいです。また、万博の公式ヘルメットとしても採用されることになりました。「HOTAMET(ホタメット)」を通して、世界中にこうした取り組みが広がっていけばうれしいですね。
甲子化学工業株式会社 企画開発部 部長 南原 徹也さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

Brother presents Music Earth
今、世界では温暖化、貧困、格差社会…様々な地球規模の課題があります。
これからの「地球」の為に、今、私たちにできる事は一体何なのでしょうか?

毎週月曜 19:30 -19:55
FM AICHIにて放送中