


毎月一回、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてるシリーズ。今回は、アミメキリン。「え?キリンって絶滅危惧種なの?」という方も多いのでは?
お話をうかがったのは、ドレッドヘアの飼育員さんとしても知られる、東山動植物園 飼育第一係 飼育員の渡邉 友治さん。キリンの担当になって11年になるそうです。
アミメキリンってどんなキリン?

東山で飼育しているのは、アミメキリンです。一番の特徴は、身体のきれいな網目模様。マサイキリンなどは、ギザギザした星形をしていますし、キリンは種類によって模様が違うんです。一方大きさは顕著には変わりません。オスで大体5.5m。最大で1トンともいわれていますが、実際のところは800キロくらいです。アフリカのサバンナの樹木があるところに生息していて、45センチくらいある長~い舌を使ってアカシアなどの背の高いとげのある葉などを器用に巻き取って食べています。彼らは動物園で見るとのんびりしているように見えますが、実際は走るのがとっても速い。時速50キロくらいで走ります。それからみなさん意外に思われるのが、キリンの角。実は5本あります。耳の間に立派なのが2本。おでこのあたりにたんこぶみたいな角がひとつ(オスはよくわかります)そして立派な2本の角の後ろに小さな突起が2つあるんです。それから、よく「キリンって鳴くんですか?」と聴かれるんですが、滅多に鳴きません。私も、これまで2度しか聴いたことがありません。牛のような「もぉ~~」って感じ。キリンは大きな分類では牛の仲間になるんです。東山のYoutubeで声が聴けるので、興味がある方はぜひ。
実は絶滅の危機に瀕しているキリンたち

日本の動物園でキリンはよく目にするのでたくさんいると思われるかもしれませんが、野生では2016年の調査でおよそ70,000頭。何かパンデミックとか紛争とかが起ったらすぐにでも減ってしまう頭数です。実は危うい状況だと言われています。原因としては、彼らの暮らすエリアが伐採などで減っていることが大きいですが、美しい毛皮を狙った密猟が今も行われています。また、政治不安で内戦も多く、その時ゲリラ兵たちが手っ取り早く食料にするために、彼らをハンティングするということもあると聞いています。人間の暮らしが彼らを脅かしていることは間違いないです。
東山動植物園のアミメキリンたち

東山動植物園 飼育第一係 渡邉 友治さん
2021年末のデータですが、日本では、58園館で193頭のキリンを飼育しています。東山では現在4頭です。唯一の男の子がトリノ、17歳。一番身体が大きいのですぐにわかると思います。紳士的な性格で、メスの間でも評判がいい(笑)。他3頭はメスで、茶色のコントラストがはっきりわかる子が、マオ15歳です。きりっとした顔立ちで、よく見るとまゆげみたいな黒い毛があります。次にアメリ5歳。血統更新のためにはるばるアメリカから来てくれた仔です。そして身体の一番小さい仔がカンナ2歳です。マオとトリノの仔に生まれた4頭目のキリンになります。産まれた時からボクたちと一緒に暮らしていることもあって、作業の途中にジャマしてくるくらいフレンドリーです。今後、アメリやカンナが成長して、種の保存のバトンをどうやって渡していけるのか、ボクらの使命でもありますが、それが楽しみですね。
施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1
東山動植物園 飼育第一係 飼育員 渡邉 友治さん


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