毎月一回、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてるシリーズ。
今回は、ホッキョクグマ。今年3月、秋田県の男鹿水族館GAOからオスの「フブキ」が来園。早速人気を集めています。GWに会いにいった方も多いのではないでしょうか。
東山動植物園 飼育第一係長 江口 雄作さんに、お話をうかがいました。
東山に久しぶりのホッキョクグマ

フブキ
フブキは2020年12月26日、秋田県の男鹿水族館GAOで豪太とユキの仔として生まれました。豪快に雪が降る吹雪の中でもたくましく…という願いを込めて名付けられたそうです。小さい時からその成長を見守り続けているお客さまも多く、大変な人気だったと聞いています。現在2歳。親離れしたばかりでの移動で少し心配したんですが、そんなこともふきとばすやんちゃぶりをみせてくれています。移動時点(2023年3月6日)で体重230キロでしたが、もう少しだけ大きくなりそうです。
これまでホッキョクグマの獣舎はコンクリートで覆われていたんですが、ウッドチップを敷いたエリアを増やしたり、フブキが退屈しないようにブイやドラム缶などさまざまな遊び道具を与えたり、工夫をしています。
21世紀の終わりにはホッキョクグマは絶滅する?

フブキ
ホッキョクグマは、ユーラシア大陸とアメリカ大陸の北極周辺に生息しています。陸地だけでなく、水中や氷の上にも移動してアザラシなどを狩って食べています。しかし、地球温暖化などの気候変動の影響によって海氷が減り、エサとなるアザラシの数が減少。
ホッキョクグマも狩りができずに飢餓状態になっているといわれています。また、もともと彼らと人間の暮らしは離れていたんですが、氷が減ってきたために人が暮らす環境にもやってくるようになってきました。そこで人の暮らしと衝突し、駆除の対象になってしまったりもしています。過酷な環境に暮らしていること、生息地がさまざまな国にわたっているということもあって、正確な野生での頭数は実は把握できていませんが、絶滅の危機に瀕していることは間違いありません。
日本の動物園の取り組み

江口 雄作さん
ホッキョクグマの現状をより多くの人に知ってもらうというのも、動物園の大きな役割のひとつだと考えています。彼らを危機に追いやったそもそもの原因は地球温暖化。それを防ぐために私たち人間ができることに想いを馳せていただけるとうれしいです。
日本の動物園では、かつて70頭近くのホッキョクグマが飼育展示されていましたが、
2021年末の発表では、すでに半数以下に減っています。ホッキョクグマは、なかなか繁殖が難しい動物。一回の出産で生まれる子どもの数もそんなに多くないですし、順調に増えていくということはこれから難しいです。そんな中でも繁殖に成功している動物園はありますので、日本の動物園、水族館が協力して、よりよい繁殖、飼育を模索している最中です。
施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1
東山動植物園 飼育第一係長 江口 雄作さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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