


毎月一回、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてるシリーズ。
今回のテーマはフンボルトペンギン。日本の動物園、水族館でおなじみのこのペンギン。実は、絶滅危惧種なんです。その背景にはどんなことがあるのか。東山動植物園の飼育員 小林 瑛理子さんにお話をうかがいました。
実は……暑さに強いんです

フンボルトペンギンは、体長65センチ~70センチ。背中が黒く、おなかが白い。胸に帯状の黒いラインが入っているのと、くちばしの付け根がピンク色なのが特徴です。現在、当園では18羽飼育しています。外見だけではオスメスの区別は難しく、当園では「翼帯」といって、翼にバンドをつけてわかるようにしています。(オスは右、メスは左に装着)。フンボルトペンギンたちに名前はつけていません。
野生では、チリやペルーなど南米の太平洋岸、赤道に近く日差しの強いところに棲んでいます。砂漠化したような海岸で暮らしていて、ペンギンの一般的なイメージとはちょっと違うかもしれませんが、彼らは暑さにも強いです。名古屋の暑さも大丈夫です。
実は……絶滅危惧種なんです

2000年頃から絶滅危惧種に指定されています。その要因はひとつではありませんが、エサとなる魚の乱獲、気候変動、営巣地の破壊など、さまざまなことが彼らの生活をおびやかしています。今、野生の生息数は推定ではありますが、多くても2万3000羽程度だといわれています。
これから7~8月は「換羽」といって羽の生え変わるシーズンです。換羽が始まると、泳がずに陸の上でずっとすごします。動物園ではこの期間はペンギンたちのモフモフをしっかり確認できると思います。
実は……飼育の歴史は結構古いんです

小林 瑛理子さん
日本の動物園水族館加盟園館で、1864羽(2021年12月末時点)飼育されており、日本のペンギンの中では一番飼育頭数の多い種類です。戦前から飼育されていたようで、1915年にチリから初めて輸入されたという記録が残っています。
フンボルトペンギンの孵化には、大体30~40日程度かかります。国内にいる仔たちは国内での繁殖がメインになってくると思いますが、血統が濃くならないように、海外からの個体と交換するなどして繁殖にとりくんでいます。
飼育下での繁殖には成功しているフンボルトペンギンですが、野生まで戻すことはできていません。日本の動物園、水族館や、NGOが、繁殖の技術を現地の動物園などに伝えるという取り組みはしているようです。
施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1
東山動植物園 飼育員 小林 瑛理子さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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