2024.04.16

邦美丸(くにみまる) 代表 富永 邦彦さんのSDGs

あたらしい漁のかたち、受注漁

「注文のあった分だけ魚を獲り、それ以上は獲らない」という新しい漁師の在り方が注目を集めています。始めたのは、岡山県玉野市胸上(むねあげ)漁港で漁を行う邦美丸(くにみまる)の代表 富永 邦彦さん。
「受注漁」というこの方法や、始めたきっかけなどをうかがいました。

漁に出るのは、注文があったときだけ

邦美丸

底引きのシーズンは4月~9月。お客様から事前にECサイトやインスタグラムで注文をうけてから、漁に出ます。基本的には、「水揚げした旬の魚」すべてのものを「お任せ鮮魚ボックス」として、宅配便でお届けするという形です。瀬戸内のタイ、クロダイ、ハモなどがメインです。魚は種類ではなく量で、1.5キロが3600円(税込)。
良い状態の魚だけをえりすぐって送るというのではなく、獲ったものをすべて発送させてもらっています。そうすることで、食品ロスをなくせると考えています。受注がなくて漁に出ないときは、家族と過ごしたり、漁協の若い方たちとイカの産卵場所など魚が育ちやすい場所づくりをしたりしています。とはいえ、ありがたいことに今年、注文が全くない日はありませんでした。みなさん関心をもってくださっているんだと思います。

人も海も…持続可能な漁業ってなんだろう

富永 邦彦 さん(右)

「もうかる漁業が持続可能な漁業かな」と思って、魚の直販と市場への出荷の二刀流をしていた時期もありました。確かに売り上げは上がったんですが、働く時間は長くなって、徐々に疑問をもつようになりました。燃料代も年々高騰していましたし、無理に漁をすることで、魚を獲りすぎている、漁場を荒らしているんじゃないか…と。そこから受注漁の発想が生まれました。
「受注漁」というのはお客さんたちとつくりあげてきたスタイルで、多分、僕たちがつくった言葉だと思います。「良い魚だけじゃなく獲った魚を全部送る」というスタイルですが、鮮度のいい魚が届くと満足していただいています。また、全国の海のない県の人たちからも「海の環境に貢献ができる」という声をいただいています。また、僕たちのような働き方を知って、興味をもってくれる漁師さんたちも増えてきています。

安定供給を求める人間が、資源を枯渇させた

年々、魚が減ってきているなということは感じています。僕が漁師になって16年ですが、以前獲れた魚が獲れなくなってきています。あくまでこれは僕の考えですが、これまで人が安定供給を求め続けた結果が、環境に大きな負荷を与えてしまうことになったのではないでしょうか。だからこれからは、「今あるものを大切にする、獲れたものをいただく」という姿勢が大事なんじゃないかと思っています。今、インスタグラムに力を入れていて、受注漁の詳細を発信しています。持続可能な漁業のこと、いろいろな人に知ってもらいたいと考えています。

取材先

邦美丸(くにみまる) 代表 富永 邦彦さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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