2024.05.28

ワンダーワールドツアー・ゲーム考案者 高橋 真(ちか)さんのSDGs

ゲームで学ぶ共生社会

2024.05.28

「ワンダーワールドツアー」というカードゲームが、注目を集めています。
プレイヤーは100歳のお年寄りになったり、また目や耳が不自由なひとになったり、さまざまなマイノリティの疑似体験をしながら、架空の国を互いに助け合って旅するというもの。楽しみながら、一緒に共生社会を学ぼうというゲームです。
このゲームを考案した、高橋 真(ちか)さんにお話をうかがいました。

チーム全員でミッションをクリア

ゲームのゴールは、勝ち負けではありません。参加者全員で指定された旅先へでかけてミッションをクリアすることにあります。旅先は「ワルワン国」という架空の国。そこで、カードに指定されたミッション、例えば、景色のいい観覧車に乗って名物のイチゴ牛乳を飲む、バーベキューをする、キノコ図鑑のお土産を買う、といったツアーをチームみんなで助け合ってクリアしましょう!というゲーム。ツアーカードには、行き先や持ち物、することなどが書かれていて、それを時間内に集めたらクリアとなります。大きな特徴は、チームのメンバーそれぞれに「旅行者カード」を割り振ること。目や耳や手の動きに制限があったり、コミュニケーションをとるのに工夫が必要だったりというさまざまな設定があります。例えば「音で世界を知る旅行者」になった人は、目をつぶったり目隠しをしたりします。「身振り手振りの旅行者」になった人は、声を出さずにジェスチャーだけでゲームに参加するということになります。普段は、自分の知らない他者のことを知る経験も、なりきる体験もなかなかないと思うんです。でもこのゲームだったら、目が見えづらい人の役、音が聞こえづらい人の役、4歳の子どもや100歳のお年寄りになりきって、その世界を感じることができるんです。

娘がみせてくれた世界がゲーム開発のきっかけ

高橋 真さん

わたしの娘にはダウン症と中度の難聴、注意欠陥他動性障害(ADHD)があります。困ったことや大変なこともありますが、子育ての中でおもしろいこともたくさんあって、知らなかった世界が見えたんです。印象的だったのは、娘が保育園から幼稚園に変わったときのこと。幼稚園で新しく出会ったお友達に娘が「遊ぼう」という意思を示すのに、はっきり言葉が発せられないので相手の子が戸惑っていると、保育園時代から一緒だったお友達が、「遊ぼうって言っているんだよ。怖がらないで」と助けてくれたんです。これって「知っていれば」当たり前に受け入れられることが「知らない」から怖くなるんですよね。知らなかった「他者」を知ったり、体験したりすることが楽しくできるといいなあ…と思ったのが開発のきっかけになりました。

ゲームを通してさまざまな気づきがある

「両手とも小指だけが使える旅行者」をやった人から、他のメンバーがあれもこれも、全部助けてくれちゃったので、自分が参加した気がしなくて残念だった、という感想を聞いたことがあります。障がいがある人はもちろん助けが必要ですが、このゲームを通して「自主性を尊重する」ことの大切さに気づいたりするのも、疑似体験のよさかなと感じています。大学でゲームをしたあと共生社会についてお話したとき、4歳の旅行者を体験した学生が「子育てって大変なんですね」という感想をくれたこともありました。またこのゲームを通して多様なお客様への接し方を学ぶ、企業研修の機会も増えています。楽しみながら、「助け合う社会」を考え「共に過ごすことの楽しさ」を知るきっかけになってくれるとうれしいです。ゲームの梱包などの作業は障がいのある方たちにお願いしています。購入いただくことが誰かの仕事につながっていることもお伝えしておきたいです。

※ワンダーワールドツアー・ゲーム 1組 2750円(ホームページから購入可能)

取材先

ワンダーワールドツアー・ゲーム考案者 高橋 真(ちか)さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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