2024.05.31

東山動植物園 飼育第一係 藤谷 武士さんのSDGs

インドシナウォータードラゴン

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2024.05.31

番組では月に一度、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてて紹介しています。
今年最初に取り上げるのは…辰年にちなんで「インドシナウォータードラゴン」。
東山動植物園 飼育第二係 藤谷 武士さんにお話をうかがいました。

緑色の美しいトカゲ

写真提供:名古屋市東山動植物園

インドシナウォータードラゴンはトカゲの仲間で、全長がおよそ60~80センチ。とは言っても尾がそのうち半分以上の長さをしめています。後ろ足の力がすごくて、びっくりすると二本足で立って、走って逃げることもできます。結構速いです。緑色の美しいトカゲですが、オスはメスに比べて頭のてっぺんから背中にかけて「クレスト」と呼ばれるトサカ状のものが非常に発達しています。頬の部分もオスのほうがふっくらしていて、いかつい顔に見えます。野生では、タイやベトナム、中国南部の水辺のそばの森林に生息し、主に肉食(昆虫など)で、たまに果実などを食べて暮らしています。走るのも速いですが、身体と尾をくねらせて水面を泳ぐし、潜水もします。

東山では昨年赤ちゃんが誕生

藤谷 武士さん(写真提供:名古屋市東山動植物園)

メスは産卵の時期になると、30センチほどの穴を掘って、そこに10~20個ほどの卵を産みます。東山では、昨年(2023年)、10頭の子どもが誕生しました。現在(2024年1月)5頭が育っています。親をふくめて7頭を飼育しています。トカゲはそもそも単独生活しているので、家族単位で生活ということはありません。赤ちゃんトカゲは、ほぼ1年で親と同じくらいの大きさに成長します。寿命は野生だと6~7年ほどといわれていますが、飼育下では10年以上です。見た目とは違って、臆病でおとなしい性格で、驚くと急に走り、鼻先や身体を壁やガラスにぶつけてケガしてしまうことがあるので、驚かさないように気を付けています。

ペット取引が絶滅危惧の要因

写真提供:名古屋市東山動植物園

最近になってIUCN(国際自然保護連合)の絶滅危惧種に指定されました。ここ10~20年で生息数が半分になった生息地域があるようです。絶滅危惧に陥った一番の原因は、「ペット取引」だといわれています。インドシナウォータードラゴンは爬虫類のペットとして人気がありますが、国際保護動物に指定されていないので、輸出入が自由なんです。ですから、乱獲されて生息数が激減してしまったと考えられます。あとは一部ですが、人間の食用(成体&卵)なども要因だといわれています。現地の国立公園の中だけの保護ではなく、国際的に保護に取り組んでいく必要があると思います。
東山では、インドシナウォータードラゴン以外にも、トカゲの仲間を10種類ほど飼育展示しています。第2・第4日曜日に「は虫類とおともだちになろう」というイベントを実施しています(先着40名)。爬虫類を近くで観察したり、実際に触れていただくもので、こうしたイベントを通してぜひ彼らのことを身近に感じていただけたらうれしいです。

施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1

取材先

東山動植物園 飼育第一係 藤谷 武士さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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