名古屋市千種区、地下鉄吹上駅近くの「Cafeスマイル」。
普通の「カフェ」としてだけでなく、施設で育って親の支援を受けられない子どもたちや、不登校や引きこもりの若者たちの就労支援「働く体験を提供する場」にもなっています。
オープンから7年。「Cafeスマイル」の活動について、店主の廣瀬 のり子さんにうかがいました。
不登校や引きこもりの子たちが自由にお手伝い

基本的にわたし一人でやっています。お手伝いの子たちは「来たいときにいつ来てもいい」ことにしているので、いたり、いなかったり(笑) お店は、小さなカウンターとテーブル席が4席、お座敷席も一か所あります。お座敷は赤ちゃんが来たときに赤ちゃんを下ろして食べられるように、また、お手伝いの子たちがお昼寝できるようにしてあります。ちょっとでもお手伝いしてもらったら、まかないやおやつは無料でつけています。そんな風にお手伝いしてくれている子は、今までで50人くらいかな。小学校4年生から20代、30代の若者と幅広いです。引きこもっている子って「明日行かなきゃ」って思うと、それだけで前の日から眠れなくなったり、当日急に体調が悪くなっちゃったりするので、強制や約束はしません。「この時間までいなくちゃいけない」と思うとそれも苦しくなっちゃうので、いつ帰ってもOKですし、ドタキャンもOKです。お客様も不登校や引きこもりの子たちがお手伝いに来るお店だとわかってらっしゃると思うんですが、誰も文句を言ったことはないですし、お座敷で寝ている子がいてもあたたかく見守ってくれています。
ゆっくりと次の一歩へ踏み出す場所に

接客の中で、ラテアートやコーヒーのハンドドリップ、カクテルの作り方を教えたりもしています。さんざん引きこもってきたから、何かやってみたい、動いてみたい、という子も多いんです。いろんな体験をして自信をつけてもらいたいので、そうした技術を教えたり、一緒にお菓子を作ったり。中学時代に不登校で、うちの店に来てくれていた子たちは、通信制や定時制の高校に進んでからすぐにアルバイトを始めたりしているので、働くことに対する抵抗はなくなったんじゃないかなと思います。
17歳くらいから来てくれている、今20歳の女の子で、とってもコーヒーを入れるのがうまい子がいるんですが、最初はコミュニケーションが苦手で、他のお手伝いの子ともほぼ関わりませんでした。でも一緒に仕事をすると仲間意識が生まれるのか、今は仲良く話していますし、お客さんも顔なじみの人とは話すようになりました。今度、彼女の成人のお祝いをみんなでやることになっています。
カフェオープンのきっかけは…

廣瀬 のり子さん
実は、私自身が高校2年生で不登校になったんです。その後、大学に進学したあとも「自分の人生これで終わりだ」とかなり苦しい思いでひきこもってしまいました。結局休学したんですが、その時にアルバイト先でバーテンダーという仕事に出会い、バーテンダーが「酒場のカウンセラー」と呼ばれていることを知りました。大学時代は「児童心理学」の勉強をしていて、カウンセラーを目指していましたから、「あ、これだ!」と。孤独で苦しんでいる子どもたちの力になりたい、と考えたのがそもそもの原点です。今、毎月カウンセラーさんに来てもらって、心理学の講座も開いています。子どもたちが悩みを相談するんじゃなくて、心理学を学んで自分で問題を解決する力をつけてほしいから。「Cafeスマイル」という店名には、子どもたちが少しでも自分に自信をつけ「笑顔」になってもらえるようにという思いも込めています。
施設名:Cafeスマイル
所在地:名古屋市千種区千種2-10-15 吹上ハイツ1F
営業時間:平日11:30~22:00、土曜日8:30~14:00、日曜日8:30~17:00
定休日:水曜日
電話:052-439-6579
「Cafeスマイル」 店主 廣瀬 のり子さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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