2024.06.11

NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび) 事務局長 岩岡 ひとみさんのSDGs

日本初の福祉複合施設「TOTONOU」

2024.06.11

昨年、愛知県長久手市にオープンしたビューティ&ヘルスケア施設「TOTONOU」は、日本初の福祉複合施設です。ガン治療などによる外見の変化に悩む方のサポートのほか、高齢者や障がいのある方とその家族が一緒に食事を楽しむための「嚥下食カフェ」などが併設されています。
企画運営しているのは、NPO法人 全国福祉理美容師養成協会、通称「ふくりび」。
がん患者や高齢者などにむけた「訪問美容」に長年携わってきた福祉理美容のトップランナーです。この施設に込めた思いを、事務局長の岩岡 ひとみさんにうかがいました。

愛知県初の嚥下食カフェ

私たちは1995年から、高齢者や障害のある方、がん治療中の方のアピアランスサポート(治療などで起こる脱毛や外見の変化などの悩みをケア)を活動の中心においてきました。次はそういう方たちが、きれいになったあとに出かけたくなるような場所を作りたいというのが、この施設をオープンするきっかけです。これまで取り組んできた、高齢者、障がい者、がん患者むけのトータルビューティサロンと、「嚥下食」が楽しめるカフェ「Kam Yom(かむよむ)」を併設しています。治療の副作用や後遺症のある方、高齢者など「嚥下(飲み込み)」に困難さを抱えている方たちも、家族や仲間と一緒に食べることを楽しめるよう、栄養や嚥下に配慮したスイーツを、東京医科歯科大学の先生とフレンチのシェフに監修してもらいメニュー開発しました。アフタヌーンティーセットは見た目も彩りよく「映え」ますが、実は、認知症の方が「食べ物」だと認識しやすいような工夫もしてあります。また、食べることに関心を持ってもらえるように、塩味、酸味、甘味、さまざまな味の刺激が体験できるようになっています。先日専門家に聞いたのですが、愛知県では初めての嚥下食カフェになるようです。

小学校の図書館並みの蔵書

岩岡 ひとみさん

カフェの中には、最大6000冊の本を収容できる本棚が壁につくりつけになっていて、「噛む」だけでなく、「読む」楽しみもここにはあります。本を通して交流の場を作りたいという思いはもちろんですが、がん患者の中には、治療が落ち着くと「学びなおしたい」という方も多いんです。そういう気持ちになったときに手にとれる本、また、入院や治療中に穏やかな気持ちになれる本や、「元気になったら行きたい」旅行の本など、さまざまなニーズにこたえられたらと考えています。本棚のオーナー制もとっていて、ひと棚オーナーとして借りていだたき、オススメの本を並べてもらっています。今後はお客さん同士の本の貸し借りもできるようにしたいと準備をしています。

地域のコミュニケーションの拠点にも

福祉施設、嚥下食カフェだと知らない人にも「立ち寄ってみたい」と感じてもらえる、おしゃれなつくりにもこだわりました。病気の人や福祉の専門家だけが訪れる場所ではなく、一般の人たちがこのカフェをきっかけに、アピアランスケアや嚥下食を知ってもらえるような地域の拠点にしたいと思っています。今も、カフェスペースで朝ヨガをしたり「ながくて大学」という学びのコミュニティイベントを企画したりしています。毎週木曜日には、中学生から22歳くらいまでの若者を対象に「若者食堂」も始めました。孤食に陥りがちな若者が、ワンコインで栄養のあるものを食べられるようにと。
若者を中心に置いて、働く世代や親の世代、多世代の交流がここでできたらとも考えています。

取材先

NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび) 事務局長 岩岡 ひとみさん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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