2024.07.05

東山動植物園 飼育第ニ係 山岸 景子さんのSDGs

ダルマワシ

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2024.07.05

番組では月に一度、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてて紹介しています。今月は、北園で展示されている猛禽類「ダルマワシ」をとりあげます。
東山動植物園 飼育第二係 山岸 景子さんにお話をうかがいました。

「ダルマワシ」という名前の由来は…

写真提供:名古屋市東山動植物園

真っ赤な顔と尾羽が短くずんぐりとした体格から、日本では「ダルマワシ」という名前がついたといわれています。幼鳥の頃は顔が青く、5~6年たって成熟すると赤くなります。体長はおよそ60センチ。猛禽類としては珍しく、雄雌で羽の色がちがいます。翼に白い部分があるのがメス、黒いのがオスです。東山ではペアで飼育しているので、その違いをぜひ実際に会って観ていただけたらと思います。朝いちばんや雨上がりなどは、羽を広げるポーズがよく見られますのでチャンスです。
鳴き声ですが、前任の担当者は「ニワトリに似ている」とブログに書いていましたが、「ア゛~ア゛ア゛~」って感じの声です(笑) 聴く人によって、感じ方は違うと思うので、これも実際に聴いて感じてみてください。比較的、朝に鳴いていることが多いです。

近年、急速に減少した生息数

山岸 景子さん (写真提供:名古屋市東山動植物園)

野生では、アフリカ大陸のサハラ砂漠以南の草原、サバンナ、砂漠地帯の茨の茂みなどの開けた土地に生息しています。小型の哺乳類をはじめ、鳥類、爬虫類、昆虫などさまざまなものを食べます。一日のほとんどを空中で過ごし、高速で滑空する姿から「軽業師」という異名があります。現在の生息数は数万頭といわれていますが、近年急速に減少していることが生息地各国で報告されています。その原因はさまざまで、あえてダルマワシを狙っているわけではないですが、毒入りの餌を食べることによる毒殺、殺虫剤の使用、巣の乱獲などがあげられます。また、人間の居住地拡大による農地の激減と荒廃の進行によっても、エサになる動物の生息地が失われることになり、ダルマワシもその影響を受けるという連鎖がおきています。生息地では、毒物の使用を減らすために、現地の人への教育や啓もう活動が行われているようです。

東山でも繁殖の実績

写真提供:名古屋市東山動植物園

日本の動物園では現在(2024年3月放送時)5つの動物園で飼育されています。東山動植物園には、1993年ペアで来園しました。同園では、現在のペアが繁殖に成功し、2010年11月にふ化。ネバーと名付けられました。2016年に那須動物王国へ移りましたが、当時の担当者が会いに行った際に、「なでてほしい」と甘えてきたというエピソードを聞きました。
今シーズンも巣づくりをするための枝を集め始めたので、「もっといるかな?」と枝や枯草を入れておいたところ、いろいろ選んで運んで巣作りをしていました。どうやら巣材にこだわりがあるようで、枯草はあまり好みじゃなかったみたいです。産卵し、抱卵もしていたので、ふ化を期待したのですが、残念ながら数日後に落ちて割れた卵を確認しました。ペアとしての相性はいいと思うので、今後うまくいってくれるといいなと思います。

施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1

取材先

東山動植物園 飼育第ニ係 山岸 景子さん

facebook

この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

Brother presents Music Earth

今、世界では温暖化、貧困、格差社会…様々な地球規模の課題があります。
これからの「地球」の為に、今、私たちにできる事は一体何なのでしょうか?

毎週月曜 19:30 -19:55
FM AICHIにて放送中