2024.07.23

有限会社 まんてん. 代表 黒田 孝弘さんのSDGs

未利用魚を魅了魚に

2024.07.23

「未利用魚」って聞いたことありますか? ずばり「使われない」「利用できない」とされてきた魚のこと。サイズが不揃い、漁獲量が少ない、鮮度が落ちやすいなど、さまざまな理由で市場に出回らない魚。そんな未利用魚をおいしく「利用」して、魅力的な商品を次々に開発している会社があります。それが豊橋市にある水産加工会社「まんてん.」。代表の黒田 孝弘さんにお話をうかがいました。

「メヒカリ」からはじまった魅了魚の活用

黒田 孝弘さん

20年ほど前、蒲郡の水産仲卸業者が「このままでは値がつかないから価値のある魚にしてほしい」と見たことのない魚を持ってきました。それがメヒカリだったんです。深海200~400メートルに生息していてとても栄養価が高いんですが(カルシウムが豊富で鉄分はマグロ・カツオの約3倍)、深海魚のためすぐに鮮度が落ちてしまうので、なかなか広く出回らなかったんですね。そこでメヒカリの唐揚げを地元の食文化として残したいと思い、まずは小中学校の給食の献立として提案。そのおいしさが伝わって地元の名物としても知られるように。最近は冷凍技術も進んで、名古屋市内の居酒屋や学校給食などでも扱うようになりました。

新たな未利用魚「ギス」にも注目

メヒカリを通して海のことを勉強し、実際に船に乗って漁師の作業を見学する中で、網にはいった魚をすべて持ち帰るのが難しいことを知りました。未利用魚を海に戻すというシーンも目の当たりにし、メヒカリを広めるだけでは海の問題は解決できないなと、未利用魚に取り組み始めたのが5年ほど前です。「メヒカリ以外の未利用魚にも着目して缶詰をつくりましょう」と地元の三谷水産高校の生徒たちに共同開発をもちかけ、ようやくこの春、形になったところです。扱うのは「ギス」という深海魚。体長30~50センチのソトイワシ科の魚です。小骨が多くて可食部が少ないため、加工に手間がかかるのが未利用魚とされてきた理由のひとつでした。

ギスのトマト煮~Yummy Fish

我々は、その「手間がかかる」ところを「手間をかける」という考え方に変えて商品開発をしようと考えました。骨の多さをどうするかが一番の課題でしたが、三谷水産高校の生徒たちとアイデアを出しながら克服していきました。味は4種類考え、「トマト煮」がスタンダードで、女性にも受けるということで採用になりました。完成したのが「ギスのトマト煮~Yummy Fish」。缶を開けてパスタにそのままかけても良いような仕上がりになっています。ネーミングの「Yummy」には、「おいしい」という意味と深海の「闇」をかけてあります。2024年4月中旬から弊社のオンラインショップや豊橋市周辺の道の駅で販売を始めます(放送当時の内容です)。今後は、また違う未利用魚を違う味付けの缶詰で展開できるかなと考えています。三谷水産高校とのコラボも、子どもたちへの食育、魚食を伝えるためにも積極的にやっていきたいですね。

取材先

有限会社 まんてん. 代表 黒田 孝弘さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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