ゲストは岐阜県郡上市の猟師、興膳 健太(こうぜん けんた)さん。福岡県出身の興膳さんは、持続可能な地域社会を作る活動を目指して15年前、郡上に移住。猟師の免許を取って「猪鹿庁(いのしかちょう)」を立ち上げ、猟師の重要性や魅力を伝える活動をしています。なぜ、興膳さんは猟師になったのか? まずはそこからうかがいました。
ボクが猟師になった理由(わけ)

2010年から狩猟を始めました。地元の猟師さんに教えてもらいながら、山に入っています。今年(2022年放送時点)はもう5-6回は山に入りました。大学が岐阜だったという縁もありますが、持続可能な地域社会をつくる活動をしたいと思っていた自分にとって、地元に誇りをもってあたたかく迎えてくれる郡上はとても魅力的でした。
猟師になったのは、冬の仕事を作りたかったから。地元の猟師さんにイノシシを食べさせてもらったことがあったんですが、めちゃくちゃおいしかったんです。これ、売れるんじゃないか?自分たちでも獲りたい!と思ったのがきっかけです。しかし、地元の猟師さんは高齢化していて、担い手も不足していました。(70代の猟師の先輩たちは僕らよりもすたすた山を歩きますけどね(笑)) 「猪鹿庁」を立ち上げたのは、自分たちのような移住者や地元の若い人たちが参加してくれるようなしくみをつくりたいと思ったからです。メンバーは現在10人ほど。実際に山に入って猟をするだけでなく、猟師の必要性やその魅力なども伝える活動をしています。
里山にとって猟師は必要な存在

興膳 健太さん
里山の生態系の維持のためには、人が山に入らなくてはなりません。イノシシ、シカより強い動物がいなくなった(オオカミがいなくなった)現代、イノシシやシカが増えすぎてしまって、山の新芽が食べつくされたり、農作物が被害にあったりして、バランスが崩れてしまうんです。人間がある程度責任をもって、生態系のバランスを整えることが必要なんですね。猪鹿庁の活動としては、狩猟免許をとらなくてもできる体験ツアーやジビエを食べるツアー、他にも全国の若い猟師さんを集めた「狩猟サミット」や「日本イノシシまつり」という全国のイノシシ肉の食べ比べといった、狩猟やジビエの魅力を伝えるイベントも積極的に開催しています。愛媛県のイノシシはミカンを食べているのでミカンの味がしたり、どんぐりを食べているイノシシは甘味があったり。全国30地域から肉を集めたんですが、育つ山で味が違うんですよ。僕たちも驚きました(笑)
イノシシのために山を育てる

2020年の4月から植林を始めました。コナラとかクヌギとか、どんぐりの成る木を。場所によってはスギやヒノキなど柱になるような木を植えています。山に実の成る木を植えることは動物たちにとって栄養価のある食べ物が得られるので、大事なことだと思っています。3年前に豚コレラが流行して、イノシシが減ってしまったことがあったんですが、その危機感から始めました。おいしいエサのある環境をつくってやりたい。よい山がなければ、よいイノシシも育たないので。また、僕たちの目標のひとつが、郡上の「仕事」を増やすこと。猟師だけでなく、こうした林業も郡上の雇用のひとつとして、定着させていけたらいいなと考えています。
岐阜県郡上市 猟師・猪鹿庁 興膳 健太(こうぜん けんた)さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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