2024.08.23

島村楽器株式会社 広報課 古関 薫子さんのSDGs

楽器のアップサイクル

壊れたり、古くなって演奏できなくなったりした楽器は、残念ながら捨てられてしまうことが多かったそうです。そんな楽器をあらたな形でアップサイクルし、新たな命を吹き込む活動を行っている楽器店があります。
島村楽器株式会社 広報課の古関 薫子(こせき かおるこ)さんに、島村楽器が取り組んでいる「楽器アップサイクルプロジェクト」のお話をうかがいました。

楽器のアップサイクルプロジェクトの目的

島村楽器には、全国に170以上の音楽教室があります。その教室の備品で音が出なくなってしまった楽器や、近隣の小・中学校、高等学校などから廃棄の依頼をうけて回収した楽器たちにもう一度命を吹き込んで、インテリア製品などにアップサイクルし、新たな形で活躍の機会を与える取り組みをしています。さらに、こうして商品化したものを島村楽器で販売。売上から販売諸経費を除いた利益を楽器購入資金にあて、楽器演奏の機会が得にくい子どもたちに寄贈するというのがプロジェクトの目的です。

プロジェクトスタートのきっかけ

古関 薫子さん

CSR(企業の社会的責任)活動の一環として、お客様のご自宅で眠る、不要になった楽器を全国から集めて修繕し、楽器に触れる機会が少ない国内の児童養護施設や開発途上国の子どもたちに送る「楽器リサイクルプロジェクト」が2013年から始まりました。そのプロジェクトが完了したあとも、楽器店として取り組むべき活動を模索する中、大阪の「アップサイクルインテリア」さんから、「廃棄楽器があったら提供してほしい」という依頼があったんです。そこで、捨てられるはずの楽器がインテリアとして販売されているということを初めて知り、その利益を世の中のために還元できないかと逆にこちらから声をかけさせていただいたのがプロジェクトのきっかけです。アップサイクルインテリアと共同作業で準備をすすめて、2021年の年末から販売を開始しました。

楽器の傷もへこみもそのまま生かす

トランペットは、音が出る正面の「ベル」の部分に電球を取り付け、上向きにして、照明器具に。バイオリンは、ボディ部分を文字盤にみたてて、掛け時計に。サックスは、本体を支柱にして、バーテーブルに生まれ変わらせています。なるべく楽器そのままの状態を生かすことにこだわり、楽器についたへこみや傷も長年大切に使われた証(あかし)、味だと考えています。価格は8000円からで、10000円代のものが一番多いです。島村楽器のオンラインストアや関東圏の5つの店舗で販売中です。
楽器が好きな方はもちろん、寄付につながると知って購入してくださっている方もいます。昔、トランペットを演奏されていた方が当時を懐かしんでトランペットの照明を購入したり、その楽器にあこがれがあって購入、というケースもお聞きしています。商品の性質から大量生産できるものではないので、まずは活動を継続することでめざす金額を達成し、収益を寄付できるようになることが目標です。できれば、年に一度くらいのペースで、子どもたちに音楽のある生活を届けられたらなと思っています。

取材先

島村楽器株式会社 広報課 古関 薫子さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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