2024.08.13

勝川ランドリー 代表取締役社長 東本 猛さんのSDGs

森と海をまもるコインランドリー

2024.08.13

洗濯やクリーニングで落とした汚れ。その汚れや排水の行方まで気にしたことはありますか?2022年2月、勝川(愛知県春日井市)にオープンした「森と海をまもるコインランドリー」は、日本初の「エシカルなランドリー」として話題を呼んでいます。
「洗剤で海を汚す時代を終わらせる」というビジョンを掲げる、勝川ランドリー 代表取締役社長の東本 猛(とうもと たけし)さんに、その取り組みについてうかがいました。

洗剤を使う=毎日石油タンカー事故を起こすこと?

汚れには、油と水の2種類の性質があります。水の汚れは水につけておくだけでとれますが、汗と皮脂のような油の汚れは、石鹸ベースの石油か合成洗剤の油を使って油汚れを浮き上がらせて洗濯することになります。その浮き上がらせた油はどこに移動するかというと、洗濯槽へ。さらにそれを洗濯槽クリーナーを使ってひき離しますよね。そうすると、今度はパイプへ移動し、それもまたパイプクリーナーを使ってひき離す……こうして最後には、海へと流れ出るわけです。つまり洗剤を使うことは、石油と油を毎日海へ流していることになり、石油タンカー事故を毎日起こしていると同じじゃないかと。今までの洗剤は、油汚れを引き離して移動させることはできるけれど、分解させることを考えて作られていなかったということなんです。

石油タンカー処理技術×服を洗う研究

東本 猛さん

もともとは、石油タンカー事故処理の研究をしている会社と出会ったことがきっかけでした。洗剤と環境破壊の関係を知ってしまった以上、なんとかしなくては、と。海の自然の温度で油を細かくして微生物に分解させるというその会社の技術と、僕たちの「服を洗う」という研究を組み合わせて、海をまもる家庭用の洗剤を開発できないかと考えたんです。洗浄時間が短く、すすぎも1回ですみ、衣類へのダメージも少ないという「海をまもる洗剤」の開発にはおよそ2年ちょっとかかりました。もちろんコストも(笑)。しかし、だからといって高い洗剤では、多くの人に使ってもらえません。海をまもるために、どこよりも安く手に入るという値段設定にもこだわりました。

海だけでなく森もまもるエシカルなコインランドリー

「洗剤で海を汚すという時代を終わらせる」というビジョンのもとに、このランドリーをオープンさせました。僕たちが流した汚水は、微生物の分解でしかきれいになりません。下水処理施設でできるだけきれいにして流すようにはしていますが、完璧ではありません。そこでもうひとつ微生物が分解をしている場所、森に注目しました。森が健全であれば、川や海の水もきれいになります。間伐など手入れを行っている健全な森の維持のために、コインランドリーの建物の健材にもこだわりました。一宮市のエコ建築工房に依頼し、岐阜県東白川村産のFSC認証木材(国際的な森林管理の規格を満たす認証林から生産された木材)を使っています。まもなく日本で初めてFSC認証のコインランドリーになる予定です(放送後に認証取得)。

取材先

勝川ランドリー 代表取締役社長 東本 猛さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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