番組では月に一度、東山動植物園で飼育している「絶滅危惧種」にスポットをあてて紹介しています。今月は、コビトカバ。コビトカバは、ジャイアントパンダ、オカピと並ぶ「世界三大珍獣」のひとつとされ、「生きた化石」とも呼ばれています。一体、なぜそうよばれるのか? 東山動植物園 飼育第二係の野村 勇治さんにお話をうかがいました。
「生きた化石」コビトカバ
コビトカバは、カバ属の祖先の姿を今に残していることから、「生きた化石」と呼ばれています。大型のカバと比べると体長は半分、重さはおよそ1割ほど。大型のカバは体重が2トンほどなので、コビトカバは200キロほどしかありません。また、大型のカバは群れますが、コビトカバは基本的に単独生活です。身体は樽型で手足がやや長く、身体には鼻と尾以外に毛がありません。足には4本の指があり、適度に網目状になっていて、陸地を歩くのに適しています。耳と鼻の穴に強い筋肉の弁があって、水につかると閉じるようになっています。大型のカバはほとんど水中で暮らすため(出産や子育ても水中)、水中生活に適した身体(鼻・眼・耳だけが水面に出せるように隆起している)になっていますが、コビトカバは、出産や子育ては陸上で行うため、大型のカバに比べて少し鼻が下にあります。
野生生息数はわずか3000頭?
コビトカバは、西アフリカの森林や湿地に生息しています。シダや柔らかい根、草、若い木の茎や葉、野菜、落ちた果物などを食べます。完全な夜行性ではありませんが、昼間は沼や灌木などに隠れて過ごし、夕方~深夜の方が行動が活発になります。
野生での生息数は3000頭程度といわれ、継続的な減少が推定されています。最大の要因は、森林伐採です。彼らの生息地が森林伐採によってプランテーション(大規模農園)などに転換され、残された森林も近年の鉱業とそれに関連するインフラ開発の増加によって脅かされています。森林が分断されたことによってコビトカバの個体群が孤立し、小規模な個体群は局地的に絶滅する恐れがあります。
国際的にもコビトカバ保護のためのワークショップや会議が開かれ、保護戦略やビジョンを共有した行動計画を示すなど、保護や研究の取り組みが行われています。
東山の仲良しペア コユリ(メス)とミライ(オス)
東山には、コユリ(メス・15歳)とミライ(オス・7歳)のペアがいます。コユリは、2011年に上野動物園から来ました。父親のショウヘイは、東山動植物園生まれです。好き嫌いもなくよく食べてくれて、健康でありがたいです。ファンの間で「美人」だと噂だそうですが、僕にとっては、どの仔も「美しい」です(笑)
ミライは、いしかわ動物園生まれ。2018年に東山にやってきました。コユリの姿が見えなくなるとそわそわするところもあって、食べ物の好き嫌いはコユリと比べるとちょっとあるかなって感じです。2頭ともおだやかな性格です。
現在コビトカバは、国内の動物園では、上野動物園、いしかわ動物園、大阪府吹田市のニフレル、神戸どうぶつ王国と東山動植物園で、計14頭が飼育されています。昨年、ニフレルで繁殖がありました。東山動植物園でも、昨年コユリが初めて出産しましたが、残念ながら赤ちゃんは死亡してしまいました。2頭の相性は非常によいと思いますので、今後に期待したいです。
施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1
東山動植物園 飼育第ニ係 野村 勇治さん
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