2024.09.13

認定NPO法人 セカンドハーベスト名古屋 理事長 前川 行弘さんのSDGs

身近なフードバンク

2024.09.13

企業や個人から余った食品を集め、食品の支援を希望される方に配るフードバンク。これまで番組でも、さまざまな団体を紹介してきました。
今回は、名古屋市を中心に東海地方で活動するフードバンク「セカンドハーベスト名古屋」の理事長 前川 行弘さんにスタジオにお越しいただき、その活動についてうかがいました。

目標は、東海地方の食のセーフティネットの構築

きっかけは、2008年にセカンドハーベスト・ジャパン(日本初のフードバンク・活動拠点は東京)の活動がテレビ番組『ガイアの夜明け』(テレビ東京)で紹介され、それを見た人たちが活動を始めたことです。2009年1月にNPOを取得して、現在に至ります。現時点では「東海地方(東海三県)の食のセーフティネットをつくろう」というのが、我々の活動のミッションになっています。
2015年に「生活困窮者自立支援法」が施行されたことに伴い、生活保護を受ける前のセーフティネットとして相談窓口がつくられました。そこと連携することで、我々も個人あてに食品を送れるようになりました。量としては、年間およそ500トンの食品を集めています。ですので、大体毎週10トントラック1台分の食品を寄贈していただき、配布しているような計算になりますね。

食品支援の流れは?

食品引き取り作業の様子

企業などで食品ロスが発生してしまい、廃棄するのではなく寄付を希望される場合は、ご連絡をいただければまず我々が活動の説明にうかがいます。活動に納得いただいたうえで、我々が転売をしないことや、食品の適切な管理を行うことなどを企業に約束して同意書を締結。寄贈をうけます。
個人で寄付を希望される場合は、直接我々の事務所まで持ち込む、または宅配便で送っていただくか、近くのフードドライブ(一般家庭から余っている食品を集めて、生活困窮者支援団体や福祉施設等に寄付する活動)を行っている団体へお渡しいただくと、そこを通して我々のところへ届くという流れになっています。
寄付された食品は野宿者を支援する団体や子ども食堂、児童養護施設といった「生活困窮者を自立させる」施設・団体に届けています。
支援を希望される団体があれば、必ずその活動を見せていただき、活動の内容はもちろん、食品管理がきちんとできるかどうかなどをチェックし、パートナー団体として登録していだだいてから、食品をお渡しするようにしています。
個人で支援を希望される場合は、行政の自立相談支援機関の窓口に行っていただければ、我々に連絡がきますので、ゆうパックなどで支援物資をお送りします。

食品寄付が減っている?

前川 行弘さん

実は、昨年から食品の集まりが少しずつ悪くなってきています。
2022年には517トンの食品を集め、ここ数年、それくらいのペースだったんですが、2023年は、13%減の453トンになりました。それが今年の2024年は、4月までの実績で年間400トンのペースで、昨年よりさらに減る見込みです。
原因として考えられるのは、諸物価の高騰です。企業は食品ロスをさらに減らそうと考えますし、消費者も余裕がなくなれば、買い控え、余分な買い物はしなくなりますよね。それに、個人の方からの寄贈は、余ったものというより寄付のためにわざわざ買ってくださっていることが多かったと感じています。ですから、物価高でそれも難しくなってきました。これから食品ロスを前提としたフードバンク自体が成り立たなくなるのでは?という危機感も持っています。全国のフードバンク連盟と相談しながら、どういうやり方がいいのか、今後を検討していく必要があると考えています。

取材先

認定NPO法人 セカンドハーベスト名古屋 理事長 前川 行弘さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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