2024.09.20

株式会社 日本クアオルト研究所 代表取締役 大城 孝幸さんのSDGs

クアオルト健康ウォーキング

2024.09.20

「クアオルト健康ウォーキング」ってご存じでしょうか? 以前、この番組でも取り上げたドイツ発祥の「がんばらないウォーキング」。ドイツでは、医療として確立されているというお話を伺いました。
日本では2008年の山形県上山(かみのやま)市をスタートに、日本の自然環境や気候に合ったスタイルで、全国さまざまな市町村が健康づくりのための施策として取り入れ始めています。その広がりについて、株式会社 日本クアオルト研究所 代表 大城 孝幸さんにお話をうかがいました。

心臓リハビリのために生まれたドイツ発祥の運動療法

ドイツでは19世紀ビスマルクの時代から、自然の治療要素を活用する「クアオルト医学」という学問が発達してきました。クアオルト健康ウォーキングは、それを取り入れたウォーキングで、もともとは心臓病のリハビリに使われていた運動療法です。
160から年齢を引いた心拍数で歩くこと、運動中、体表面温度を平均で2度下げる(やや冷えると感じる程度)ことによって、持久力をあげていくというのが大きなポイントです。これはミュンヘン大学 医学部のアンゲラ・シュー教授がエビデンス(医学的な根拠)を出していますが、持久力が倍になるといいます。それによって、身体的な活動量が増え、健康寿命を延ばすことにつながっていくというわけです。ドイツでは、治療をする場合は3~4週間で週3~4日、それぞれ20~40分程度歩けばよいとされています。毎日歩く必要はありません。

クアオルトは、日本語に直すと「療養地」

クア(Kur)は「治療・療養・保養のための滞在」オルト(Ort)は「場所・地域」という意味。さまざまな条件をクリアする必要があるのですが、ドイツには今、347か所「クアオルト」を名乗ることができる地域があり、そこでは医療保険も適応されています。また、この「クアオルト」を目指す地域が1000自治体、さらにその予備軍の自治体は4000あると言われています。
日本では、ドイツのクアオルトを基本に、地域資源や温泉などを活用しながら日本の風土にあった健康保養地を目指しています。日本循環器学会からも、血圧の高い人ほど優位に下がって、しかもメンタルヘルスにも寄与するというクアオルト健康ウォーキングに関するエビデンスが発表され、自治体から注目を集めています。2008年の山形県上山市から始まり、現在31の自治体が、クアオルト健康ウォーキングを取り入れています。

クアオルトを取り入れた自治体の街づくり

大城 孝幸さん

全国で現在、88の認定コースがあります(2024年7月放送時点)。短いところでは1.3キロ。長いところでは4キロくらい。それぞれさまざまなイベントをプラスしながら2時間半くらいかけて歩いてもらうというプログラムになっています。
愛知県では岡崎市と名古屋市の中区と緑区が、また岐阜県は2016年の白川村を皮切りに、飛騨市、岐阜市、関市、美濃加茂市、そして今年、下呂市がクアオルトを取り入れた街づくりをスタートさせました。特に岐阜県では、地域の医療施設と連携しているケースが多いです。ウォーキングに参加してくださった方のデータを蓄積して解析したり、医療に活用したりなどの動きがあります。人生100年時代といわれていますが、さまざまなライフステージにあわせて、ちょっと賢く歩いたら生活習慣を変えられ、自分の人生はどんな年でもデザインできるんだということを発信していきたいと思っています。

取材先

株式会社 日本クアオルト研究所 代表取締役 大城 孝幸さん

facebook

この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

Brother presents Music Earth

今、世界では温暖化、貧困、格差社会…様々な地球規模の課題があります。
これからの「地球」の為に、今、私たちにできる事は一体何なのでしょうか?

毎週月曜 19:30 -19:55
FM AICHIにて放送中