2024.10.22

NPO法人SEA藻 プロジェクトリーダー・鈴木ダイビング 取締役 鈴木 望海さんのSDGs

「海の森を守る」PART2

2024.10.22

先週、海藻などの役目の大切さに着目し、海藻が育つ場所「藻場」を保全する取り組みを行っているNPO法人SEA藻の三重県での活動について、理事長の鈴木 勝海(かつみ)さんにお話をうかがいました。
今週は、同じくNPO法人SEA藻のプロジェクトリーダーで、鈴木ダイビングの取締役でもある鈴木 望海(のぞみ)さんに、愛知県三河湾での活動についてお話をうかがいます。

夏、海藻が枯れてしまう?三河湾

鈴木 望海さん

愛知県の海には、前回、三重県で駆除をしているとお話ししたガンガゼのような食害生物はあまりいないんですが、こちらの藻場の減少の原因は、どちらかというと環境の変化、特に水温上昇によるものではないかと考えています。
三重県は外海に面していますので、潮の変わりも多く水温もそこまで上がらないのですが、愛知県の三河湾は知多半島と渥美半島に囲まれていて、外海との海水の交換が少ないため、夏場はとても水温が上がりやすく、逆に冬場は下がりやすい、水中の生き物にとっては過酷な環境です。ただし、冬場は水温が下がることで海藻を食べる食害生物が寄り付かず、冬場は海藻が育ちやすいとも言えます。ところが今、夏場は水温が高すぎて海藻が枯れてしまう。特に湾の奥のほうは年々海藻が育たなくなってきています。三河湾のこの問題は、少なくとも30~40年前から起こっていると考えられています。

三河湾ではアマモを移植して藻場を育成

三河湾では、湾で一番育ちやすい「アマモ」という海藻をメインに、移植や播種(はしゅ・種をまくこと)を行っています。アマモは稲をイメージしていただくとよいですかね。根が生えて芽がでて、葉をピンとつけて育ち、夏になると実をつけ、秋・冬の水温が落ちついたころになるとまた大きくなって…を繰り返す年中育つ植物です。しかし、アマモの種の植え付けはなかなか難しい。直まきを行うと、100万粒あっても2~3株しか出ないんです。種をまいても、定着する前に流れに乗ってアマモが生えない場所まで流されてしまうんです。ですから、種を粘土にくっつけて沈めたり、麻でできた海中で分解されるマットにはさみこんだりといった工夫をしています。種まきは10月から11月ごろの水温が下がってきたところで行っています。

佐久島の子どもたちとともに活動

今は、西尾市にある佐久島で島の子どもたちと一緒に活動をしています。アマモの移植は、もともとは島の小学生たちが始めた活動なんです。子どもたちは小学校低学年のうちから参加して、自分たちでアマモの種をとるところから植え付けまで行っています。活動を始めて20年以上が経ち、当時参加していた子どもたちは、水産のことを学ぶ学校に入ったり、その後大学で環境を学んだり、中には島でそのまま漁業者となって、漁業者の中に環境の大切さを広める活動をしている人もいます。
地球温暖化で海中の水温が上がることによって、三重県も愛知県も海の中の生き物もどんどん変化してきています。常に潜って水中を見ているからこそ、こういった海の環境を守っていく活動を続けていきたいと考えています。ダイバーは全国にいらっしゃいます。地域の海、水中の環境に意識をもって参加してもらえればいいかなと思います。

取材先

NPO法人SEA藻 プロジェクトリーダー・鈴木ダイビング 取締役 鈴木 望海さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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