今年も「あいち国際女性映画祭2024」が、9月5日から8日までウィルあいちとミッドランドスクエア シネマ2で開催されます。国内外で活躍する女性監督による作品や女性に注目した作品を集めた、国内唯一の国際女性映画祭。今年は、招待作品・特別企画などで20本、フィルムコンペティションをあわせて36の作品が上映されます。あいち国際女性映画祭のディレクター 木全 純治(きまた じゅんじ)さんに今回のみどころをうかがいました。(イベントは終了しています)
中国映画と台湾映画を同時に上映!
今年も素晴らしい作品がそろいましたが、特筆すべきは、中国と台湾の映画を同時に公開できるということ。それぞれの政府や地域の干渉などもあり、なかなか中国映画と台湾映画を一緒に公開するというのは珍しいんです。
中国からは、『盛夏の聲』(2024)。京劇を学ぶ3人の学生が大事なコンペティションのために競い、支え合って成長していくという青春ドラマです。高い声で芝居をする京劇俳優にとって「変声期」は試練の時期。京劇を少しでも知っている人にはたまらない作品です。
台湾からは『春行』(2023)。今回の映画祭のオープニングを飾ります。主人公は台湾の山の中で暮らす熟年夫婦。ある朝、突然妻が亡くなってしまい、夫はその遺体をなんと冷凍庫に入れて保存しようとする…というお話です。妻役のヤン・クイメイ、夫役のシー・シアンはともに台湾を代表する名優。彼らの演技はもちろん、味わい深い映像美にも注目です。
そしてオススメをもう一作。韓国映画『ジンセン・ボーイ』(2023)。1000年ものの高麗人参酒をめぐるコメディで、KARAのメンバーであるカン・ジヨン主演。本映画祭が世界初公開になります。
困難な状況を抱える人々をテーマにした作品に注目
国内の女性監督たちの作品には、さまざまな依存症からの脱却、障害をもった子どもの子育て、性暴力など「困難な状況を抱える人々をテーマにしたもの」が目立ちました。
『99%、いつも曇り』(2023)の監督は瑚海 みどりさん。ずっと俳優をされていたんですが、ご自身がアスペルガー傾向(発達障害グレーゾーン)にあることをテーマに作られた作品です。
また、愛知初公開となる『アディクトを待ちながら』(2024)はギャンブル依存症がテーマ。覚せい剤と大麻所持で逮捕された大物ミュージシャン役を高知 東生さんが演じ、また、ご自身もパチンコ依存症だったという青木 さやかさんも出演しています。国内の女性監督たちは、こうした社会問題をしっかり捉える中でエンタメ的な手法も入れるなど、年々レベルがあがってきています。
来年は30周年。世界に向けて「女性」映画祭をPR
『あいち女性映画祭』も今年で29回目。コロナ禍でもその火は消さずに上映を続けてきました。来年はいよいよ30周年ということで、大きな区切りを迎えます。しかし、女性監督の映画界に占める地位、割合は「それほどまだ」なんです。スタートしたばかりの頃に比べて女性監督が増えはしましたが、まだ全体の15%程度。国会議員の割合も同じくらいです。30年経ったら「女性映画祭」の「女性」のカンムリは無くなるかな…と思っていましたが、逆に今こそ大事になってきたなと感じています。
世界に向けて「日本にあいち国際女性映画祭あり!」をもっと発信していきたいと思っています。若い世代も育ってきていますので、彼女たちが映画監督を職業としても成り立っていけるような応援が必要だと感じています。
あいち国際女性映画祭 ディレクター 木全 純治さん
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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。
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