2024.11.19

株式会社ココトモファーム 代表取締役 齋藤 秀一さんのSDGs

障がいのある人もない人も トモにはたらく居場所づくり

愛知県犬山市の「ココトモファーム」は、「ココでトモだちになろう」をテーマに、農業、商業、工業、福祉を連携させ、生産から販売までの一貫したものづくりを通して、障がいがある人もない人も一緒に働ける居場所づくりに取り組んでいます。
株式会社ココトモファーム 代表取締役の齋藤 秀一さんにスタジオにお越しいただき、ココトモファームの取り組みについて詳しくうかがいました。

誰ひとり取り残さない「居場所」をめざして

ココトモファームの田んぼ

ココトモファームは、犬山市の認定農業者として主にお米の生産を行っています(1次産業)。この米を自社で粉にした米粉を100%使いグルテンフリーのバウムクーヘンを製造(2次産業)、さらに店舗を構えて販売する(3次産業)という、いわゆる農業の6次産業化(1×2×3=6)に取り組んでいます。コンセプトは「ココでトモだちになろう」。それぞれの職場で、障がいのあるスタッフもそうでないスタッフも一緒に働ける場、活躍できる「居場所」づくりをしていこうと活動しています。
就労している社員のうち、およそ1割の方が何らかの障がいを持っています。聾唖(ろうあ)の方だけで運営する店舗もあります。名古屋市守山区のにあるお店「サインランゲージストア」は、筆談かジェスチャーか手話でないと買えないお店というスタイルでブランディングしました。オープン前、名古屋駅のナナちゃんストリートで事前にプレ販売をしたんですが、行列ができるほどブレイクしました。8月からは県営名古屋空港のエアポートウォークにも出店し、好評いただいています。

農業と福祉の両方を持続可能に

もともと障がい者福祉に特化したITの会社を経営していて、障がいがあるお子さんが通う福祉施設向けのシステムを全国で6300施設ほど提供していました。令和3年の段階で、そういった障がい者福祉施設に通っている子どもたちは全国で26万5千人いて、年々増えています。その子たちが大人になったとき、どこに行けばいいのか?というのが大きな課題。国の施策としては、「一般企業で障がい者を雇用してください」という雇用義務があるんですが、およそ50%の企業が罰金を払って「雇用しません」という選択をしているのが現状なんです。どうすればいいんだろうとずっと悩んでいたときに、農福連携フォーラム(働き手が不足し耕作放棄地が増加している農業と、障がい者の働く場を探す福祉とが連携して互いの課題の解決策を探る)に参加し、彼らが働く場や居場所をつくりたいと考えたのがココトモファームを立ち上げたきっかけです。しかし、農業だけでは多くの収益は望めません。そこで、商品をつくって付加価値をあげ、みんなで販売する訓練もして、売れたお金が工賃になることで、農業と福祉を持続可能にするしくみを作ろうと考えました。

お客さまとの「うれしい」の繰り返しが働く喜びに

ココトモファームでは「買ってください」をやりません。「食べてください」という試食販売が基本です。「買ってください」というと、断られることが多いですよね。これを繰り返すと、障がいのある方は特に「自分は必要とされていない」と自己肯定感がどんどん下がってしまうんです。ところが、「食べてください」と試食を配ると、かなりの確率で受け取ってもらえる→食べて「おいしい」と言ってもらえる→「おいしい」と言ってくれた方が買ってくれる、といったように「うれしい」が繰り返されますよね。そうすると「仕事って楽しい」になってくるんです。人の役に立ったり人から褒められたり、自分が必要とされていると感じて初めて、自分の居場所って実感できると思うんです。「働く場」よりも大事なのがこの「居場所」。必要とされる「場所」や「出番」をどうつくっていくか、そこまで入れた仕組みを社会に広げていくことで、みんなが活躍できる場がひろがっていけばいいなと思っています。

取材先

株式会社ココトモファーム 代表取締役 齋藤 秀一さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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