番組では月に一度、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてて紹介していますが、今月は、世界最大のトカゲである、コモドオオトカゲです。
今年(2024年)、シンガポール動物園からオスの「タロウ」が来園。8月から展示公開され、さっそく大変な人気を集めています。
コモドオオトカゲの生態について、東山動植物園の飼育第二係 湯川 正幸さんにお話をうかがいました。
待ち伏せし「毒」を注入して獲物をしとめる
コモドオオトカゲは世界一大きなトカゲとして知られていて、オスは全長およそ3メートル、体重は90㎏くらい、メスは全長およそ2メートル、体重は50㎏弱と言われています。インドネシアのコモド島などの森林やサバンナ、草原やマングローブ林などに暮らしています。
身体の半分を占める長いしっぽと鋭い爪が特徴で、鋭い歯と毒管をもち、舌を出し入れして匂いを嗅ぎわけます。野生では、シカやイノシシなどの大型の哺乳類が獲物です。ライオンのように獲物に直接襲いかかるのではなく、彼らがよく通る道で待ち伏せて噛みつき、傷から毒を注入します。血液の凝固を抑制する毒(ヘモトキシン)なので、出血が止まらなくなります。その血を追って、意識がなくなって倒れる獲物を仕留める、というやり方です。
野生では絶滅の危機に
野生での生息数はおよそ3500頭と言われています。過去の数値との具体的な比較はありませんが、生息地がコモド国立公園の島々に限定されている動物であり、2010年から2040年の生息地の状況を評価すると、45年間の3世代期間中に、適切な生息地の面積が少なくとも30%減少するとの指摘もあります。原因として考えられる理由が3つあり、1つ目は、地球温暖化によって生態系のバランスが崩れ、コモドオオトカゲの獲物が減少したこと、2つ目は、森林火災や焼き畑農業によって棲む場所がなくなったこと、3つ目は、ペットとして売るために密猟者が捕獲したことなどです。そのため、コモドオオトカゲは「インドネシアの国宝」として、生息地であるコモド島を含む島々を国立公園にして保全活動をしています。
国内でコモドオオトカゲが見られるのは東山動植物園だけ
今回東山動植物園にやってきた「タロウ」はシンガポール動物園生まれの13歳のオスです。全長270㎝で、現在体重は50㎏。第一印象は「意外に大きいな」でした(笑) タロウの母「ヨーコ」は、もともと上野動物園で飼育されていて、繁殖のためにシンガポール動物園へ行きました。そこで生まれたのがタロウなんです。
シンガポール動物園がコモドオオトカゲの繁殖に取り組むにあたり、必要な飼育スペースを確保するためにタロウの転出が図られました。タロウの所有権は上野動物園にあるんですが、コモドオオトカゲを飼育するスペースがなかったことから東山動植物園に相談があり、今回の来園につながりました。タロウを迎えるにあたって、シンガポールへ獣医師、飼育員を研修に派遣して、コモドオオトカゲについての飼育の知識や、タロウの特性などについても研修を受けてきました。旧類人猿舎のゴリラ展示室を改修し、屋内で飼育するため、紫外線の照射や温度、湿度管理に注意しています。
現在、コモドオオトカゲを飼育展示しているのは国内では東山動植物園だけです。ぜひ、世界最大のトカゲを実際に見に来てください。
施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1
東山動植物園 飼育第二係 湯川 正幸さん
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