先週の放送(9月23日放送)では「廃棄する食用の油で、飛行機を飛ばそう」という「Fry to Fly Project」を紹介しました。地元、中部国際空港セントレアもこのプロジェクトに参加しています。全国の空港としては、関西国際空港に続いて2番目の参加。
中部国際空港株式会社セントレア 地域共生部 事業調整グループの重野 尚之さんに、セントレアでの取り組みとこれからについて詳しくお話をうかがいました。
プロジェクトの参加は全国の空港で2番目
「Fry to Fly Project」には、今年(2024年)の3月から参加しており、プロジェクトの趣旨にはもっと以前から賛同していました。空港としては、関西国際空港についで2番目の参加になります。
中部国際空港では2021年に「セントレアゼロカーボン2050宣言」をし、温室効果ガスゼロにむけて航空全事業者が一丸となって取り組みを進めているところです。また、航空機の分野においては国際民間航空機関(ICAO)で、2030年までに航空燃料の10%をSAF(持続可能な航空燃料、Sustainable Aviation Fuelの略)に置き換え、2050年までにカーボンニュートラルを目指すとされています。そんな中、日揮ホールディングスからSAFにするための廃食用油の回収などの協力要請があり、航空業界の脱炭素に寄与することは、空港会社にとって使命であり、協力は不可欠だと考えました。思いを同じくする団体、企業とともに更なる普及を推進していきたいと考えています。
全国で初めて自治体と空港が連携
空港周辺をはじめ中部地域の各自治体に、家庭などから排出される廃食用油をSAFの原材料として回収する働きかけをしてきました。そんな中、今年4月に、資源循環型社会の実現を目指す東浦町から主旨への賛同を得て、協定を結びました。空港会社と自治体が一体となって廃食用油の回収をし、SAFの製造に直接つなげていくという国内初の連携協定になりました。東浦町内の各家庭から排出される廃食用油が、役場をはじめ各集会所、コミュニティセンターなど11か所(2024年9月放送時点)で集められています。それらは2か月に1度に回収され、大阪府堺市にある日揮ホールディングを中心に建設中の国内SAFの製造プラントに運ばれます。ここで、国産のSAFが製造開始されたのちに、将来、セントレアで航空機にSAFが燃料供給されるというサプライチェーンになります。
子どもたちにもわかりやすい夢のあるプロジェクト
昨年の実績ですが、東浦町では年間で6千リットルの廃食用油を回収したそうです。各航空機の燃費にもよりますが、SAF化されると、セントレアから沖縄までの片道距離を補える計算になります。
夏休みに入る直前に、「Fry to Fly Project」代表の西村氏とともに東浦町内の小学校でSAFをテーマに環境授業を行いました。「お母さんが自宅のキッチンで作ったエビフライの天ぷら油で飛行機が飛ぶ」というのは、小学生にとってとても夢のあるプロジェクトですし、生活に身近なものがターゲットになるため、脱炭素化、資源循環への貢献を誰もが実感できる取り組みだと改めて感じました。
SAFは航空分野の脱炭素化の切り札になると考えられています。将来、セントレアにおいてもSAFの燃料供給ができるか否かというのは、海外の航空会社にとっても就航先の選択に重要なファクターになってきます。もっとSAFのことを知っていただき、県内の自治体からも多くの協力が得られるよう、われわれも活動していこうと思っています。
※「Fry to Fly Project」とSAFについては、9月23日の放送内容をご覧ください。
中部国際空港株式会社セントレア 地域共生部 事業調整グループ 重野 尚之さん
この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。
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