10月16日は「世界食料デー」。国連が定めた、世界の食料問題を考える日です。
「ハンガー・フリー・ワールド」は、最も基本的な人権のひとつ「食料への権利」の実現と、飢餓の解決をめざし、日本を拠点に24年にわたってバングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダで住民の自立を支援しています。
認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド 国内事業担当の西平 久美子さんに、世界の食料問題や活動内容についてお話をうかがいました。
生産量は足りているのに十分に食料が行き渡らない
2030年までに飢餓人口をゼロにしようというSDGsの目標ができ、数十年前と比べれば改善してきてはいますが、今、世界では11人に1人に相当する7億人以上の人が飢餓に直面していると言われています。この数字は特にコロナ禍で上昇し、高止まり状態が続いて深刻な状態です。
そもそも食料がなぜ足りていないのかというと、生産量と消費量、在庫量とを厳密に比べると、十分に生産量と在庫量で全員分を賄うことができるんです。きちんと分配されていなかったり、生産された食料のうち、3分の1が畑から我々の口に入るまでの間にうまく流通できず、安全な状態で供給されていなかったり、というのが問題です。
原因はひとつではありません。例えば貧困や経済的な格差。食料が買えず、飢餓に陥るということもありますし、災害に見舞われて食物が作れなくなる、紛争などで貿易が滞る…コロナ禍も要因のひとつです。経済基盤がぜい弱な途上国などでは、こうしたダメージがあったときに、なかなか立ち直れないのが問題となっています。
気候変動が飢餓につながって……
日本でも気候の影響で米不足になったり、大きな災害が起こって物流が止まったりということも近年増えています。そして、日本以上に、雨水に頼った農業をしているような途上国の小規模の農家ですと、雨の時期が少しずれる、日照りが続くといったことで作物ができなくなり、そのために安定した収入が得られなくなり、食料の確保もできなくなるという悪循環が生まれます。さらにこうした気候変動で食料の価格が高騰すると、経済がぜい弱な途上国では飢餓に繋がりやすくなります。また、何に栄養があってどういう食物を食べるべきかということを「知らない」ことも飢餓につながる要因になっています。
直接食料を贈るのではなく、住民の「自立」を支援
ハンガー・フリー・ワールドは、2000年から住民の「自立支援」を行っています。直接食料を贈って支援するのではなく、その土地の人々が、自分たちの力で食物を生産したり購入したりできる状態になるための支援です。「食料への権利」(必要な食料を自らの手で得られること)を実現していけるように、日本を拠点にバングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダの4か国でサポート活動をしてきました。支援地から卒業してもらうのが一番の目標で、ブルキナファソでは、最初はハンガー・フリー・ワールドが支援しながらも、徐々に住民たちの力だけで事業を運営していけるようになりました。そこで少しずつサポートの手を引いていき、2016年には、一定の目標に達したとしてブルキナファソから撤退しました。
ハンガー・フリー・ワールドの活動は寄付で成り立っています。全国から書き損じはがきや使わなくなった切手などを送っていただき、それを換金して資金の一部としていますので、協力していただけるとうれしいです。
ハンガー・フリー・ワールド ホームページ内の「あなたにできること」には、書き損じはがきの送り方やボランティア参加についての紹介があります。次週の放送では、ボランティア活動に参加している方のお話をうかがいます。
認定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド 国内事業担当 西平 久美子さん
この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。
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