2025.02.19

東山動植物園 飼育第二グループ 高倉 健一郎さんのSDGs

マンドリル

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2025.02.19

番組では月に一度、東山動植物園で飼育している「絶滅危惧種」にスポットをあてて紹介しています。今月は「マンドリル」。まるで歌舞伎の隈取(くまどり)をしたような、鮮やかな顔が特徴のサルです。
東山動植物園にはオスのマンジュウロウとメスのニコが暮らしています。東山動植物園の飼育第二グループ 高倉 健一郎さんにお話をうかがいました。

歌舞伎役者さながらの派手な顔

マンジュウロウ (写真提供:名古屋市東山動植物園)

マンドリルは、筋の入った赤い鼻の横に青いストライプと、まるで歌舞伎の隈取のようなあざやかな顔が特徴です。オスのほうがメスより色が鮮やかです。生まれたときは顔は黒っぽい感じですが、年齢を重なるごとに色があらわれ、性成熟するにしたがってより鮮やかになってきます。鮮やかであることが、健康であることのシグナルのひとつであり、また複数種が集まる「混群」で同種を見分けるためにカラフルな顔を持っているとも言われています。熱帯雨林の奥地で広い行動範囲を持つため、野生での生態は不明な点が多いですが、一夫多妻もしくは複雄複雌の群れで暮らし、昼行性です。日中は森林の地上が主な生息場所で、夜は外敵を避けて木の上で眠ります。

過去24年間で個体数が30以上減少

高倉 健一郎さん (写真提供:名古屋市東山動植物園)

野生のマンドリルは、過去24年間で個体数が30%以上も減ったと言われています。広範囲にわたる狩猟と森林伐採などにより、生息域のほとんどが劣化してきたことがその原因とされています。現在、マンドリルの生息域には多くの公園や保護区があり、生息国ごとに少なくともひとつの保護区、地理的分布域内のほとんどの保護区で生息が確認されていますが、いずれ動物園などでも見られなくなる日は遠くないのかもしれません。
日本国内では、22園館で68頭が飼育されています(2023年12月31日時点)。東山動植物園でも、2012年7月11日にメスが誕生。「くるり」と名付けられ、現在、沖縄こどもの国で元気に暮らしています。

マンジュウロウとニコのペアに期待大

ニコ (写真提供:名古屋市東山動植物園)

東山動植物園では、くるりのお父さんである「マンジュウロウ」と、2年前に福岡県の到津の森公園からやってきたメスの「ニコ」が暮らしています。マンジュウロウは11月28日で20歳。人間でいうと円熟味の増した中高年といったところでしょうか。マンジュウロウは、見た目の迫力に比べて臆病な一面がありまして、ちょっとした物音に敏感に反応したりします。
ニコとの同居は令和5年7月から開始しました。同居後すぐに、ニコがマンジュウロウにお尻を向けました。実はマンドリル界では、これは「挨拶」なんですよ。トラブルなく同居が成功し、スタッフ一同ほっとしました。同居したての頃は交尾行動はみられませんでしたが、今年(令和6年)に入って交尾行動が頻繁にみられるようになりました。ニコはまだ11歳と若いですが、積極的で、奥手のマンジュウロウとは相性がよいと思います。赤ちゃん誕生を期待したいです。

施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1

取材先

東山動植物園 飼育第二グループ 高倉 健一郎さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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