「100万人のキャンドルナイト」という運動をご存じですか?
毎年、夏至と冬至の日、夜8時から10時、電気を一斉に消してろうそくをともし、スローな時間を過ごす中で、地球の未来に思いを馳せる…という環境文化運動です。
100万人のキャンドルナイト@増上寺事務局長の町田 正英さんに、この運動をスタートさせたきっかけやひろがりについて、詳しくうかがいました。
電気を消して スローな夜を

「100万人のキャンドルナイト」は、2003年環境省のライトダウンキャンペーンと連動して、「大地を守る会」の呼びかけで始まりました。取り組むことは非常にシンプル。「電気を消してスローな夜を」を合言葉に、毎年、夏至と冬至にゆったりとした時間を過ごしましょうということで、呼びかけをしています。キーワードは「多様性」と「自発性」と言っているんですが、どのように過ごすかはみなさんの完全な自由なんです。参加された方からは、家族一緒にろうそくの明かりで食事をしたり、キャンドルの明かりだけでお風呂に入ったり、絵本の読み聞かせをするということもよく聞きますね。スタートから20年以上がたちました。「100万人のキャンドルナイトは100万人の過ごし方がある」ということで、いつでもだれでも簡単に取り組める、敷居の低いムーブメントとして裾野の広がりがあったと思います。
キャンドルは暗闇の中で五感を開く装置

町田 正英さん
2003年の立ち上げのときは、みんなが参加しやすいような仕組みづくりをしました。ホームページ上に「キャンドルスケープ」という、参加登録すると日本地図上にその地点のあかりが灯り、自分や他の参加者がどこで参加しているのかわかるコンテンツを導入。2004年には自分がどういう風に過ごすか、ホームページ上でメッセージが出せるようにしたり、さらにGoogle Map上で自分が参加するイベントが見えるようにしたり、ムーブメントの可視化にはずっと注力してきました。
ろうそくに関しては、三重県のカメヤマローソクさんに最初から参加していただき、キャンドル連携は非常に色濃くやっていただいています。キャンドルって、いい意味で自分の五感を開く装置でもあると思うんです。今の生活は、火のあるところからはなかなか遠くなってしまっていますが、キャンドルをともしながら暗闇の中で自分の五感を開くことが、地球の未来を考えたり、どんなアクションを自分がこれからしたらいいのか、新たな行動や考えを浮かび上がらせたりしてくれると思います。
今年のテーマは「地球の未来を応援する」

東京の増上寺で毎年、夏至の当日にはキャンドルナイトイベントを開催しています。今年も1万2千人以上の方が会場を訪れてくれました。今年は「地球の未来を応援する」をテーマに掲げ、地球の未来のために自分でできるアクションを見つけることができるコンテンツをいくつか用意しましたが、目玉は「キャンドルスポット」でした。メッセージキャンドルツリーを2つ作り、SDGsの17の色のキャンドルをともしながら、ひとつは地球の未来を応援するツリー、もうひとつは能登の応援をするツリーとし、来場者の方に一口500円で寄付をしていただき、いろいろなメッセージをそこにともすことができるというものです。集まった寄付金は全額能登へ寄付しました。冬至には、夏至のようなイベント開催ではなく、基本的にはムーブメントの呼びかけのみです。ここまで草の根環境文化運動として定着したのは、いつでもだれでも簡単に参加できる仕組みがムーブメントとして根付いたのではないかと思っています。最近は、次の世代にこのムーブメントをバトンタッチすることに注力しています。そのひとつとして、「未来のキャンドルナイトプロジェクト」と称して大学生との連携を始めました。先にあげた増上寺でのイベントなどの司会も、彼らで行ってもらっています。
100万人のキャンドルナイト@増上寺事務局長 町田 正英さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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