規格外だからと廃棄されてしまう生花を「ドライフラワー」にして、インテリアやイベントでの飾りつけなどで、再び生まれ変わらせる活動をしているフラワーデザイナーがいます。アトリエ merry_go_roundを経営する堀 祐次郎さん。
活動のきっかけや活動に込めた思いなどについてうかがいました。
規格外の花の美しさを伝えたい

例えば、一本のバラに栄養を行き渡らせるために他を折ったり、花に傷が入ってしまったものを廃棄したりと、市場に出回る前にはどうしても一定数廃棄される花がでてきます。
愛知県は、花の生産量が全国でNO.1。ブランドを保つために、もともと出荷の品質基準がとても高いんです。廃棄される理由は、茎の長さが足りなかったり花が小さかったりすることですが、それ以上に多いのが、タイミング。例えば、母の日が近づくとカーネーションが一番売れますが、それ以降になると売れなくなりますよね。出荷が間に合わず遅咲きになるとすべて捨てられる、という現状もあるんです。
僕は、こうして規格外や遅咲きになった花を、ドライフラワーにして販売しています。湿度や温度管理はもちろん、紫外線が当たらないように暗室で作るなど工夫し、できあがりの花の色や美しさにこだわっています。全国を回って移動販売をしながら、こうした花の実情、現状をお客様に直接お伝えする活動をしています。ドライフラワーを見たお客様からは、「これ捨てられるお花だったの?」「これが規格外だったの?」という声が一番多いですね。
巡らせたいのは「花」と「花が届ける幸せ」

花は幸せな気持ちを伝えるものだと思っていて、その気持ちを巡らせたいという思いを込めて、アトリエに「merry_go_round(メリーゴーラウンド)」という名前を付けました。名前の間にアンダーバーを入れていますが、そこには、幼少の頃から生け花を教えてもらっていて、私が16歳の時に亡くなった叔母と22歳の時に亡くなった兄への思いを込めています。
ドライフラワーは、生花と比べると長く美しさが続きますが、いずれは朽ちていくものです。それは人間にも重なり、その色味の変化もまた魅力でもあると思っています。ドライフラワーが痛んで朽ちてきたら、焼却するのではなく、それをチップにして土に戻し、また農家さんに納めて腐葉土として使ってもらい、お花を育ててもらう……。そんな「お花」が巡ること、花のサーキュラーエコノミーが理想です。
花のサーキュラーエコノミーで地方再生

堀 祐次郎さん(中央)
昨年(2023年)10月から、岐阜県八百津でアトリエを構えて活動をしています。古民家を利用して作業場をつくり、来年にはカフェなども併設したいと考えています。
花は嗜好品ですが、生活の潤いには欠かせません。花を贈られた人は幸せな気持ちになり、また贈った人も幸せになれるツールです。花を活用して、廃れていくであろう地方をもう一度、幸せな気持ちで起こしていきたいなと思っています。先ほどお話しした「花のサーキュラーエコノミー」を八百津で実現させ、花で地方再生の一端を担えればうれしいです。
アトリエ merry_go_round 経営・フラワーデザイナー 堀 祐次郎さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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