「すすぎ」の必要がなく、おまけに自然に還るという洗濯洗剤が注目されています。
その名も「海へ…Fukii(フッキー)」。一体どういう洗剤なのか、どうやって使うのか?
環境活動家で発明家、この「海へ…Fukii」を開発した、がんこ本舗代表の木村 正宏さんに、この洗剤の誕生のきっかけなどについて詳しくうかがいました
人間と海の生き物たちとの共生から生まれた洗剤

「海へ…Fukii」という名前には、海を再生させたい、きれいな海を復帰させたいという思いを込めました。私たちは決して「洗剤屋」という感覚じゃないんです。「どうやったら人間と海の生き物たちが共生できるのか?」。これを考えたら極力、海を汚さない方法を考えなければいけない。でも、毎日の生活で面倒くさいな、というやり方だと普及もできない。「どんな方法ならできるのか?」を研究していった結果が、この洗濯洗剤を開発することになったんです。
通常の洗剤の場合、汚れは「はがして流す」しくみになりますが、私たちは「海をきれいにしたい」というのがそもそもの目的ですから、流すだけではダメでその汚れを分解できるようにしなければいけないんです。そこで、とれた汚れを他の生物、微生物によって分解可能な状態にするにはどうしたらいいかという研究をしてきました。さらに汚れの再付着を防ぐために、はがした汚れを包みこむもの(再付着防止剤)を開発。1997年から研究を始めて3年ですすぎ1回型、さらにすすぎゼロ回型をめざし、2023年に完全に分解可能な状態までもってくることができました。
食器洗いにも家の掃除にも災害時にも活躍

木村 正宏さん
最初の開発から25年がたち、現在、愛用者はおよそ50万世帯。洗濯以外でも例えば食器洗いなどにも使っていただけます。私たちは海をきれいにしたいというテーマで活動していますから、なるべくなら洗剤に頼らない生活をしていただきたい。食器だったら、油汚れを拭き取れば少量の洗剤ですみますよね。洗剤をスプレー式にして、お皿に吹きかけてぬぐい取るという使い方です。このやり方なら、食器だけでなく、床拭きや窓ふき、お風呂、トイレの掃除も全部していただけます。
また、災害で水が自由に使えないというときにも、活躍してくれます。たまたま、普段この洗剤をお使いになっている方から「これは災害時にも役にたつ」と、能登の地震の折にお声かけをいただきました。身の回りの清潔を確保できないと、人間の心はすさんできます。この洗剤がお役に立つのならと、さまざまなところに寄付もさせていただいています。
地産地消の「地域洗剤」を目指して

地域洗剤
大きなサイズの袋やジッパー付きのビニール袋に、衣類とひたひたの水、そして「海へ…Fukii」を1プッシュ。そのあと空気を抜いてジッパーを閉め、袋の外からもみ洗いしたら、あとは洗濯液を捨て、袋のまま衣類を絞って乾かせばOKです。
私たちのラボと配送センターは現在、福岡にあります。輸送途中に二酸化炭素が排出され、陸送すればタイヤの摩耗による粉塵災害などが考えられます。環境への配慮を考えると、それぞれの地域地域でブレンドした洗剤を出してもらえれば、一番いいのではないかと思っています。今、全国5か所でそういう「地域洗剤」をはじめています。私たちが環境活動でできることを考えたとき、毎日海に漂着物を拾いにいくといったことはできません。
毎日使うものを変えるだけで、環境がどんどんよくなっていく、自分たちの暮らしが川や海とつながっている、そこにいる生き物たちともつながっているんだということを、この洗剤で実感していただけるとうれしいです。
環境活動家・発明家・がんこ本舗 代表 木村 正宏さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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