2025.04.15

RGC株式会社のSDGs

廃車の窓ガラスをアップサイクル

2025.04.15

私たちの生活に欠かせない自動車。年間どれくらいの車が廃棄されると思いますか?正解は、およそ350万台。その総重量のおよそ80%がリサイクルされ、残り20%は埋め立て処分されてきました。中でも窓ガラスはリサイクルが難しかったそうなんです。
そんな廃棄される自動車の窓ガラスをアップサイクルして食器にしているのが、沖縄県にあるRGC株式会社。琉球ガラスをつくっている会社です。「mado」と名付けられたこの食器シリーズ誕生のエピソードをうかがいました。

廃車の窓ガラスだけは県外の処分場へ送られていた

そもそものきっかけは、沖縄県内の大きなリサイクル業者から原料をもちこまれて、「これでグラスをつくれないか?」と、グループ会社60周年の記念品としての制作依頼があったことです。打ち合わせをする中で、沖縄県内で月間6600台くらいの車の廃棄があり、サイドガラスは県外の業者に数百万円払って処分してもらっているという課題があることを知りました。
グラスも良いものができましたし、県内のゴミが減らせるのであればアップサイクルを一緒にすすめていけたらという話になり、「mado」シリーズとして制作、販売することになりました。madoのロゴを製品に刻印しているんですが、これ、ひっくり返すとwindowのwになるんです。何からできているかがわかりやすいようにと、ブランド名を考えました。

琉球ガラスにはアップサイクルから誕生した歴史が

窓ガラス粉砕の様子

沖縄でのガラス製造は明治時代からありました。その時は珪砂(けいしゃ)を使った原料でガラスをつくっていたんですが、第二次世界大戦の沖縄戦を経て物資がかなり少なくなり、工房もすべて破壊されてしまいました。そんな中、また日用品をつくろうというときに、駐留米軍が廃棄する空き瓶(コーラなど)を利用して生活雑器を作り始めました。さらに駐留米兵がお土産品としてオリエンタルなデザインのカタログを持ってきて、沖縄のガラス職人に「こういうのをつくってくれ」とオーダー。それに応えながら再生ガラスを使う技術を高めていったという歴史があります。
今回の「mado」プロジェクトは、琉球ガラス発展の原点に立ち返った形です。「久しぶりの再生ガラスだな~」とベテランのガラス職人は、はりきってますね。

沖縄の職人の技術と伝統でサステナブルな社会づくりを

現在「mado」シリーズには2色あります。アイスグリーンとスモーキーブラック。これはもともと原料となるサイドガラスをそのまま使うとアイスグリーンに、後部座席にUVカットのスモークがはいっているので、そこを使うとスモーキーブラックになるんです。柄はモール柄とダイヤ柄。いずれも琉球ガラスのスタンダードな模様です。
モール柄は、物資のない時代、原料が水あめ状になっているときに、廃車のホイールの真ん中の部分にくっつけて縦の筋を入れたあと、くっとひねって柄をつけるというようなことをやっていたそうで、今回、琉球ガラスの原点に立ち返るという意味で採用しました。
また、ダイヤ柄はコップの中にスパイク状のものがついている型がありまして、そこにガラスの原料をいれて吹き付けてつくります。こうしたガラスに刻まれた模様は光を通すと本当にきれいなんです。この製品が、お土産品としての琉球ガラスではなく、より日常生活でサステナブルな環境で物を使っていきたいという方たちに届いているというのが、わたしたちにとって新しいつながりだと感じています。沖縄には、米兵の払い下げのパラシュートからシャツをつくったり、廃タイヤから島草履をつくったりという技術もあります。こうした手仕事の職人の技術と伝統をよりサステナブルな社会づくりに伝えていきたいですね。

取材先
facebook

この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

Brother presents Music Earth

今、世界では温暖化、貧困、格差社会…様々な地球規模の課題があります。
これからの「地球」の為に、今、私たちにできる事は一体何なのでしょうか?

毎週月曜 19:30 -19:55
FM AICHIにて放送中