できるだけ無駄な洋服を買わない、タンスのこやしを増やさない。リサイクルショップを利用する…などなど、SDGsの観点からも、洋服に対する考え方はここ数年で変わってきました。それは、洋服を提供する側にも言えること。
今回お話を伺ったのは、東海地方に拠点をおく「とわデザイン」のデザイナー、加藤 友美さん。
「ゴミを出さない、生まない」「100年着たい」服作りを目指しています。どんな取り組みをされているのでしょうか。
ハギレを出さない服作りを目指して

四角衣服
学生の時、フジロックフェスティバルでゴミの分別をする環境ボランティアに参加したことをきっかけに、環境問題に興味を持ちはじめました。洋服づくりは中学生の時からしていましたが、洋服に関しても化学染料を使っていれば、それがそのまま海に流れるとか、裁断をすればハギレのゴミが出るとか、「行く末」を考えるようになりました。
そんな中、農薬を使わなくても育つヘンプ麻やオーガニックコットンの衣服雑貨を販売する店で仕事をすることになり、素材にも興味を持ちました。デザインとしては着物や野良着、モンペなどに注目。これらは直線裁断で、曲線の多い洋服と違ってハギレがでにくいんです。こうした四角いパーツを生かした「四角衣服」に力をいれています。日本の着物や、ヨーロッパの羊飼いが着ているスモックなども参考にしています。
どうしても出てしまったハギレもとことん生かす

近江麻
「布」って生まれるまでにいろんなストーリーがあって、やっと「布」になるんです。それを考えると「簡単には捨てられないぞ」(笑)と。ハギレは全部残していて、つなぎ合わせデザインに活かすんです。自分たちでつなぎ合わせることもあれば、障がいがある方たちの施設で自由につなぎ合わせてもらって、新しいシャツにしたり、細かいものは「裂き織り」で新たな布を創ったりしています。
とわデザインでメインに扱っている素材は「近江麻」。この麻にポリエステルの糸でロックミシンをかけたハギレを2020年の3月にイチゴを育てているプランターに埋めて、どれくらいで土に還るのか実験してみました。麻素材は半年で土に分解されましたが、ポリエステルの糸は、分解されていませんでした。ポリエステルの糸は、分解に150~200年くらいかかるんだそうです。染料に関しても言えることなんですが、ポリエステルの糸だと天然染の色が入ってくれないんです。綿だときれいに入ります。なので、綿の糸で縫った麻の服をメインにしています。
服は農作物。土に還して循環させたい

加藤 友美さん
衣服はもともと植物からできているものですよね。ですから土に還して循環させたいんです。
昨年(2019年)、三重県いなべ市に引っ越して、まださまざまな試みをしている最中なんですが、ハギレをもっとたくさん土に埋めて、そこにいろんな肥料になるものを混ぜて、たい肥をつくれないかと考えています。自然栽培の農業をやっている友人に相談しているところです。その土で野菜を育て、みんなと味わう。「食べる」ことで、衣服が別の状態で自分の中に入ってくる……。身体を通して衣服の循環を感じられたらおいしく、わかりやすく伝えられるんじゃないかなと思っているんです。
toi designs(とわデザイン)デザイナー 加藤 友美(かとう とみ)さん


この取り組みのSDGsを知ろう
「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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