2025.06.17

合同会社KAKOI 代表 栫 正人さんのSDGs

おいで食べ米~食物アレルギー対応・米粉パスタ~

食物アレルギーを抱えている人にとって、「みんなと同じものが食べられない」ことは大きな悩み。それが子どもであれば、なおさらです。
小麦アレルギーの人でも安心して食べられる冷凍米粉のパスタ「おいで食べ米(まい)!」の販売を始めた、合同会社KAKOIの栫(かこい) 正人さんに、スタジオにお越しいただきお話をうかがいました。

給食での児童のアレルギー発症の経験がきっかけに

私は、35年間小中学校で教員をしておりました。アレルギーのある子たちは給食の時間、席を離して食事をするという現状があります。例えば、牛乳パックをあけたとき、少し牛乳が飛んだだけでアレルギーが出ちゃうなんていう子もいるからです。
「おいで食べ米」というネーミングには、小麦などのアレルギーがある子たちにも「こっちに来て、一緒に食べよう」という意味を込めています。教員時代、給食で卵アレルギーの児童がアナフィラキシーショックを発症したことがありました。その子がおかわりをするときに、卵料理の配膳で使ったおたまを使ってしまい、その後昼休みに走ったことが原因でした。幸いにも軽症で済みましたが、それまでにもアレルギー対応には、十分注意をして対策していただけに、ショックでした。そのことが心に残り、できるだけ安心安全に提供できるものが作れたら、と定年後に米粉パスタの開発に着手しました。

ひとクラスに2.2人食物アレルギーの子が

使っているのは、宮城県の「ひとめぼれ」。何度も試食を行い、よりもちもちした感じの厚みや幅のパスタをさぐりました。パスタにあわせるソースも一緒に開発。大分県産の生バジルを使ったジェノベーゼと、香川県特産のオリーブ搾り果実を与えて育てたオリーブ夢豚を使ったボロネーゼの2種類があります。小麦が食べられなかった方から「あきらめていたパスタが食べられて涙が出ました」というお便りもいただきました。プレ万博で開かれた「食育推進全国大会」での試食会も大変好評で、行列ができました。
今、ひとクラスに2.2人食物アレルギーの子がいるといわれています。そうした現状を知っていただく啓発活動の一貫として、子ども食堂にも提供しています。基本的に、子ども食堂は余った食材を提供することが多いですが、こうした食物アレルギー対応商品を知っていただく意味があると思っています。
私が勤めていた東郷町では、学期に1回「ニコニコ給食」というアレルゲンのない給食を実施しているんですが、その時は、いつも席を離している子たちも一緒になって食べられるんです。この時の子どもたちの笑顔は忘れられないですね。

子どもたちへの食物アレルギー理解への入り口に

栫 正人さん

3月後半に食物アレルギーに対してのイベントを公的機関で行います。クイズ形式で食物アレルギーの勉強をしながら、最後に「おいで食べ米」を試食していただこうと考えています。これから新学期を迎えるにあたって、食物アレルギーのお子さんをもつ親御さんは心配も多いと思いますが、遠慮なく学校に連絡してもらえれば、管理職や養護教諭も一緒に親身になって対応してもらえます。そんなことも伝えられたら、と思っています。
実は、小麦アレルギーは欧米にとても多いんです。そういう海外の方向けに、米粉パスタを紹介したいという思いもあり、ゆずや抹茶など「日本の味」を練りこんだ製品を開発中です。甘味にして、あずきやアイスクリームを乗せても意外にいけるんですよ。

取材先

合同会社KAKOI 代表 栫 正人さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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