2025.07.15

一般社団法人南知多ユニバーサルビーチプロジェクト 代表理事 入山 淳さんのSDGs

めざせ海のバリアフリー ~in南知多~

2025.07.15

障がいのある人も、特殊なビーチマットを使えば、波打ち際まで車いすで行けたり、水陸両用の車いすに乗れば、海にも入れたりできる!という「海のバリアフリー」を目指す活動について、以前(2022年7月26日放送)取り上げました。兵庫県の須磨海岸からスタートしたこの活動は、日本全国に少しずつ広がっていて、実は、愛知県知多半島でも始まっています。
一般社団法人南知多ユニバーサルビーチプロジェクト 代表理事の入山 淳(いりやま あつし)さんにお話をうかがいました。

※2022年7月26日放送「海のバリアフリー」の記事はこちら

高齢者福祉に関する旅館の運営がきっかけに

入山 淳さん

南知多では、2019年の8月から海のバリアフリー活動をスタートさせています。もともと僕は飲食店のコンサルタントをしていたんですが、南知多で高齢者福祉にかかわる旅館の立ち上げのお手伝いをすることになりまして。その宿は高齢者の方だけでなく、障がいを持つ方も利用されていたんですね。その中で「近くで観光をしたい」という要望があって、周りの観光施設を見学にいったところ、ある程度バリアフリーにはなっていたんですが、肝心な「海」だけがバリアフリーじゃなかったんです。せっかく旅館のすぐ裏が海なのに。「海に入りたい」「釣りをしたい」という方たちの声に応えたいとその方法を探したところ、須磨ユニバーサルビーチプロジェクトの木戸さんを知り、紹介していただきました。とにかく一度やってみようと体験を募集したら、車いすの方たちの反響が大きくて、さっそく取り入れることにしたんです。

海の浮力を利用して立ち上がることも…

初めて海に入れた方、子どもの頃以来何十年ぶりに入られた方。「やっぱり自然はいいな」「海はいいな」という声をいただきました。最初は波打ち際の波さえ怖がっていた方も、まず足を海水につけるところから始めて…「ああ、ちょっと肌にしみるってことはやっぱり海水なんだね」と海を実感されたり…。海に入ると浮力が強いので、車いすの方も立てるんですね。そういう経験をして、地平線を目の高さに見て、「すごくきれいだ!」と感激されたり…。海への介助は我々インストラクターがしますので、ご家族も一緒に海に入って楽しめますし、笑顔で一緒に写真が撮れた!と喜んでくださいました。我々も「やってよかった」と思うと同時に、これは毎年やり続けないといけない活動だなと感じています。

障がいを持った経験者もアドバイザーとして参加

温水シャワーも必要です。高齢者の方や車いすの方は、筋力がないので温水シャワーをあびないと風邪をひいてしまうんですね。仮設のものを常滑のりんくうビーチで導入したんですが、着替えもできて、シャワーも浴びられると好評だったので、これをどこのビーチでも導入できるといいなと考えています。これは災害時にも役立つ設備なので、各自治体で導入してもらえるとありがたいですね。
インストラクターは、ボランティアを含め32名(2022年放送時)、救急救命士や介護福祉士、介護タクシーをしている方などさまざまなスキルを活かして参加してもらっています。また障がいを持った方も、アドバイザーとして心強い存在です。「初めて海に入る」って楽しくもありますが、心配や不安も伴います。一度、体験された方から、その楽しさや経験を説明してもらったり、相談に乗ってもらったりして、「海に一緒に入ろうか」と声をかけていただいたりしています。常滑のりんくうビーチでは、サウナやグランピング場ができて、海水浴だけじゃなくBBQなども楽しんでいただけます。車いすごと乗って海を回遊できる8人乗りのSUP(サップ)※も導入しました。「次は海で何しよう?」「何したい?」という経験や希望をどんどん増やしていきたいです。

※ Stand Up Paddleboard(スタンドアップパドルボード)の略。水面に浮かべた上に人が立ち、パドルを漕ぎながら水面を移動できるボード。

取材先

一般社団法人南知多ユニバーサルビーチプロジェクト 代表理事 入山 淳さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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