2025.07.30

東山動植物園 飼育第二グループ 田中 理映子さんのSDGs

メダカ

シリーズ:絶滅危惧種を考える

2025.07.30

番組では月に一度、東山動植物園で飼育されている「絶滅危惧種」にスポットをあてて紹介しています。
今月は二週にわたって、春から活動を始める「メダカ」をとりあげます。
今週はまず、東山動植物園 飼育第二グループの田中 理映子さんに、東山動植物園が誇る「世界のメダカ館」についてうかがいました。絶滅の危機にあるメダカを守るすご~い施設なんですよ。

地球上の半分のメダカが絶滅の危機に瀕している

世界には44種類のメダカが確認されていて、そのうち国際保護連合のIUCNや日本の環境省に指定されている絶滅危惧種は13種類。しかし調査はまだ不足しているので、実際は44種類のうちの半分以上が絶滅の危機に瀕していると考えてよいと思います。水田や川が宅地化され開発されたことや、川や用水路が人に利用されやすいように整備されたことで、メダカが棲む場所がなくなっているというのが一番の原因です。また、生息地に天敵である肉食性の外来種が侵入したことや、生息地の水質が悪化したことも大きいです。生息場所がそんなに広くなく、また小さなメダカのような生き物は、環境の変化の影響を受けやすく、早いスピードで生息数が減少してしまうんです。
日本には、青森県から兵庫県までの日本海側にキタノメダカ、東北地方の太平洋側から沖縄までの南の地域にミナミメダカと、2種のメダカが生息しています。1999年に日本の環境省が両方を絶滅危惧種に指定しましたが、徐々にメダカの生息地が減っており、生息数も減ってきています。

世界屈指の施設・世界のメダカ館

メダカのような小さな生き物たちに興味を持っていただき、自然を守る大切さを伝える施設をと、世界のメダカ館は1993年10月にオープンしました。当時、日本のメダカはまだ絶滅危惧種に指定されていませんでしたが、生息数が減少していることは明らかで、近い将来絶滅の危機に直面するだろうということを私たちは予想していました。現在、メダカ30種類、メダカに近い、親戚のカダヤシの仲間100種類、日本の淡水魚や小さな水生生物50種の合計180種を飼育展示しています。飼育しているメダカやその他の生き物のほとんどをメダカ館で繁殖させ、命をつなぎ、開館当時から多くの種を守っています。(飼育している希少種などについては、次週4月21日放送分で紹介します。)

ナゴヤメダカの里親プロジェクト

田中 理映子さん

名古屋に生息しているのはミナミメダカになりますが、現在名古屋市内の生息はほとんど確認されていません。メダカ館では、80年以上前に名古屋大学が名古屋市の平和公園で採集し、系統維持されてきたミナミメダカ(通称ナゴヤメダカ)を譲り受け、累代繁殖(何世代にもわたって繁殖させること)することで種の保存を行ってきました。
同じミナミメダカでも棲んでいる地域によって遺伝子が異なり、ナゴヤメダカも「名古屋市のメダカ」として守っていかなくてはなりません。そのために行っているのが、メダカの里親プロジェクトです。里親となってくださる方々を募集し、家でナゴヤメダカを飼育繁殖していただき、動物園に返してもらうというものです。このプロジェクトを通して、種を守ること、自然を守ることの大切さや生物多様性について考えていただければとも思っています。

※今年度のナゴヤメダカの里親募集は5月に終了しています。

施設名:名古屋市東山動植物園
所在地:〒464-0804 愛知県名古屋市千種区東山元町3-70
電話:052-782-2111
公式サイト:www.higashiyama.city.nagoya.jp
Youtubeチャンネル:www.youtube.com/user/HigashiyamaPark
開園時間:9:00~16:50(入園は16:30まで)
休園日:月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12/29~1/1

取材先

東山動植物園 飼育第二グループ 田中 理映子さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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