なごやメシには欠かせない調味料のひとつ、八丁味噌。この八丁味噌からなんと……紙をつくるというプロジェクトがあるんです。
岡崎市にある八丁味噌の老舗、株式会社 まるや八丁味噌 取締役の加藤 敦さんにスタジオにお越しいただき、詳しくお話をうかがいました。
八丁味噌を練りこんでつくった名刺でご挨拶

名刺の紙、ほんのり甘い香りがすると思うんですが……。やわらかなベージュの色合いは、味噌由来。よ~く見ていただくと紙の中に「茶色い点」がぽつぽつとありますよね。これが、わかりやすく「ミソ」(笑)になっています。
私ども「まるや八丁味噌」は、岡崎市八丁町で約690年続く味噌蔵です。大豆と塩だけを原料として、2メートルほどの高さの木桶に円錐状に石を積み上げ、2年以上熟成させた豆味噌をつくっています。熟成の度合いによって積み上げた石(およそ3トン)が上がったり、下がったりしますが、この2年の間、木桶の中を一切混ぜたりはしません。重りにつかう石と味噌の間に麻の布を敷くんですが、どうしてもその桶の上部分は2年間外気にさらされたままになってしまいます。ここを「蓋みそ」と呼びます。ひとつの桶で味噌を6トン仕込むと、「蓋みそ」はそのうち100キロほど。食用には適さないので、切り取ってやむを得ず廃棄していました。
味噌汁より濃い八丁味噌の紙

岡崎市にある岡田印刷さんから「面白い技術があるから、八丁味噌で紙をつくってみよう」と提案をいただいたのが、きっかけです。最初は「そんなことできるの?」という思いと同時に、食品を紙にすることに違和感がある方もいるのでは…?という戸惑いもありました。しかし、岡田印刷さんから「ぜひ、これを使って岡崎をもりあげたい」という思いをうかがって、ぜひ、となりました。
開発には半年かかりました。味噌の風味があって、とても面白いものができたと思っています。実際に紙に味噌を何パーセント混ぜるかが非常に難しかったです。少量だと味噌の風味が出ないし、多すぎると茶色くなりすぎるし。最終的には15%の配合に落ち着きました。実はこれは、味噌汁よりも濃いそうです。
八丁味噌の紙で岡崎を盛り上げたい

加藤 敦さん(写真左)
早速使ってみると、名刺をお渡しした方の反応が全然違います(笑)。通常の名刺だと、会社と名前を確認して終わりますが、この八丁味噌紙の名刺だと、お相手に何でできているかをお話しして、まずは目で色を確認していただき、次は鼻で匂いを嗅いでいただくんですね。名刺交換が非常に和んで、そのあとの商談が非常にスムーズに進むという効果があります(笑)。八丁味噌の作り方にも興味をもってもらえるし、そこで八丁味噌のよさも理解していただけるのかなと感じています。
今後は、岡崎市の商工会議所や観光協会にも使っていただく予定です。岡崎市のパンフレットなどいろいろなものに使用してもらって、この紙が岡崎を盛り上げる手助けになればうれしいです。また、愛知県内の他の企業からもぜひこの紙で名刺を作って使いたいというお声もたくさんいただいています。興味があればぜひ、お声かけいただきたいです。
株式会社 まるや八丁味噌 取締役 加藤 敦さん


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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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