2026.02.10

日本パラリンピック委員会 アスリート委員会 委員長 三阪 洋行さんのSDGs

「車いすラグビーの魅力」 パート1

2026.02.10

全米オープンでの優勝を果たした車いすテニスや、2024年パリのパラリンピックで金メダルを獲得した車いすラグビーなど、日本選手の活躍もあって注目が高まっている「パラスポーツ」。しかし、まだパラスポーツに関して知らないことも多いのではないでしょうか?
10月13日は「スポーツの日」。元車いすラグビーの日本代表で、現在は、日本パラリンピック委員会 アスリート委員会 委員長として活躍する三阪 洋行(みさか ひろゆき)さんに、車いすラグビーの魅力についてうかがいました。

障がいの違いも男女も超え~共に出場できるルールの工夫~

車いすラグビーは、健常者のラグビーとはかなりルールが異なります。まず選手の人数ですが、車いすラグビーは4人対4人で戦います。芝のグラウンドではなく体育館で、バスケットボールと同じ広さのコートを使います。試合時間も健常者のラグビーだと、前半・後半40分ずつですが、車いすラグビーはバスケットボールのように「ピリオド制」になっていて、8分間のピリオドを4回行います。また、ラグビーボールは楕円球とよばれる形が特徴ですが、車いすラグビーでは、バレーボールの5号球と同じ丸いボールで素材を滑りにくくしたものを使います。また、ラグビーは本来前にパスをしてはいけないんですが、「車いすラグビーでは、前方へのパスがOK」などルールもかなり異なります。
車いすラグビーの選手には両手両足に障がいがありますが、動かせる範囲は障がいの程度によって人それぞれですよね。そこで障がいの程度にあわせた「持ち点(0.5刻みで7段階)」制度があり、選手4人の持ち点が合計8点に収まるように選んで出場するというルールになっています。こうすることで、障がいの重い人も軽い人も平等に試合に出場できるチャンスがうまれます。また、チームは男女混合で組まれ、女性が入る場合は選手の合計点8点を0.5から最大1点まで加点することができます。

選手の特性にあわせた2タイプの競技用「ラグ車」

攻撃型のラグ車

車いすラグビー最大の特徴は、車いす同士が激しくぶつかりあう「タックル」。車いすラグビーでは専用の車いす、通称「ラグ車(らぐしゃ)」を使います。ラグ車は「攻撃型」と「守備型」の大きく2つのタイプにわかれています。「攻撃型」を利用する選手は、障がいが比較的軽く(持ち点でいうと2~3.5点)車いすをアクティブに操作できる人たちで、車いすを速く走らせたり、ボールを持ってトライしたりする役割になります。一方、障がいの重い人(持ち点が0.5~1.5点)は「守備型」に乗って、ボールを持った味方をサポートする役割をつとめることが多いです。「守備型」のラグ車は、カブトムシのツノのように突起がでているのが特徴で、これをタックルでぶつけて、車いす自体を動かせなくすることができるんです。障がいの違いがあっても、それぞれの車いすの型をかえることで、役割分担できるのも車いすラグビーの大きな特徴です。
ただ、日本製のラグ車はなく、ちょっとお高い…のが課題ですね。トップ選手が使うのはニュージーランド製とアメリカ製のものが主流で、1台150~200万円するものもあります。これを買ってすぐガンガンぶつけあう(笑)ので、もう少し安価なモデルが普及すれば、車いすラグビーを始めたいという人の裾野が広がるんですが…。

2024年パリパラリンピックで悲願の金メダル

三阪 洋行さん

現在日本国内には、北は北海道から南は沖縄まで11のクラブチームがあり、そこに約100人のプレイヤーがいます。そのうち、女性は6人です。
車いすラグビーは、アトランタパラリンピック後の1996年11月に正式に国内に競技が紹介され、翌年4月に日本ウィルチェアーラグビー連盟(当時)が設立されました。日本代表チームの初出場は、2004年のアテネパラリンピック。以降すべてのパラリンピックに出場しています。リオと東京で銅メダル、そして2024年のパリでは、悲願の金メダルを獲得しました。初めてのアテネでは一勝もできなかったのですが、そこからいろいろな選手が海外に出て勉強し、コーチを海外から招聘(へい)するなど、さまざまな経験を経て自分たちの車いすラグビーを作り上げてきました。各障がいのクラスにトップレベルの選手がいますが、それだけでは勝てません。緻密に練りこまれた戦術が必要で、それを理解しチームとしてやりつづけられることが強さの秘密だと思います。

次週も三阪さんに「車いすラグビー」の魅力、パラスポーツを知ることの意義などについてうかがいます。

取材先

日本パラリンピック委員会 アスリート委員会 委員長 三阪 洋行さん

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「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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