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次世代に向けた新事業 省電力スポットクーラー
オフィス用のプリンター・複合機を主力事業とするブラザーでは、次世代の成長に向け新事業の創出を進めていますが、その新事業のひとつに産業向けのスポットクーラーがあります。地球温暖化が進行し、世界的に温室効果ガスであるCO2の排出削減が求められるなかで、酷暑の作業現場を低い環境負荷で快適にしようと、水による気化熱に着目し、熱交換器と冷却エレメントによる独自の気化式2段階冷却技術を搭載したスポットクーラーを新規開発。従来型のヒートポンプ式スポットエアコンに比べ消費電力は1/4以下という環境性能を売りに、ブラザーエンタープライズで2020年から販売を開始。様々な作業現場で活躍しています。
夏場のフォークリフト作業 熱中症対策の課題
トヨタ自動車では、サステナビリティへの取り組みのひとつとして、安全で健康な職場環境づくりに取り組んでいます。豊田市の高岡工場では長年、夏場におけるフォークリフト作業者の熱中症対策に課題を抱えていました。フォークリフトが移動する建物は非常に空間が広いために、オフィスのように空間全体を冷やす「全体空調」が難しく、また上屋と呼ばれる半屋外空間での作業も多くあります。構内にスポット空調や大型ファンを設置しても、フォークリフト作業者への影響は限られていました。そこでフォークリフト自体に空調機器を搭載し作業者を個別に冷やす「個別空調」を検討しましたが、同時に「トヨタ環境チャレンジ2050」で2050年の工場CO2排出ゼロに挑むトヨタでは、その消費エネルギーを最小限に抑える必要があり、従来のヒートポンプ式スポットエアコンよりも省電力な空調機器を探していました。
トヨタとブラザーのコラボレーションで、フォークリフト用スポットクーラーが完成
そんな中、トヨタはブラザーの省電力スポットクーラーに注目し、フォークリフト専用品の開発を打診。こうしてトヨタの協力のもと、ブラザーでフォークリフト用スポットクーラーの開発が始まりました。作業者を確実に冷やせる冷却性能を保ちながら、フォークリフトに搭載できるサイズへの小型化、フォークリフト作業の振動や衝撃に耐える耐振動性、作業者の視界を妨げない設置性など数々の課題を、トヨタ自動車高岡工場の生産ラインでの評価や走行試験を繰り返しながら解決。さらなる省電力化も実現しました。約1年半にわたる両社のコラボレーションによって、安全性・快適性・省エネ性・耐久性を兼ね備えたフォークリフト用スポットクーラーが完成しました。
スポットクーラーの個別空調で、空調にかかるエネルギーを大幅に節約
トヨタでは、このフォークリフト用スポットクーラーの個別空調によって、工場の物流ライン全体を空調する場合と比較して、最大92%※もエネルギー消費量を節約できる試算のもと、高岡工場をはじめ、トヨタ自動車国内工場への導入が始まりました。作業者からは、常に首筋に冷風が当たることで快適に作業できるという喜びの声が寄せられています。こうして環境に配慮した技術によって、夏場におけるフォークリフト作業の労働環境を改善。一般財団法人 省エネルギーセンターが主催する「2021年度 省エネ大賞」の製品・ビジネスモデル部門にて、トヨタとブラザーが共同で「省エネルギーセンター会長賞」を受賞しました。
SDGs目標8「働きがいも経済成長も」には、安全な職場環境の推進を図るターゲット(8.8)があります。またSDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」には、持続的な経済成長を目指す上で、“環境に配慮した技術により産業を改善する”ターゲット(9.4)があります。また、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は気候変動とその影響を軽減するための緊急対策を求めています。ブラザーはトヨタとの協力のもとで開発した、フォークリフト用の省電力スポットクーラーの導入拡大を通じて、夏場のフォークリフト作業における労働環境を改善するとともに、フォークリフトが活躍する工場や物流現場の空調に掛かるエネルギー消費量を大きく節約し、CO2削減にも貢献することで、SDGsの達成に貢献します。
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