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“印刷”でアフリカの農村の未来を広げる

~日本発スタートアップ企業と力を合わせた、村の印刷サービス~

世界各地の官公庁から企業、商業施設、学校など様々な場所で、日々多くの印刷物が使用されています。公的手続き用の書類、チラシやリーフレット、領収書、子どもたちが学習に使うプリントなど、その種類は多彩。先進国においてはデジタル化の進展でそのボリュームは減少傾向にある一方、新興国では需要が増加している国もあり、デジタルに置き換えることのできない多くの分野で、たくさんの印刷物が私たちの生活を支えています。
電気のない未電化地域にも印刷の需要はあり、アフリカの農村では、公的な書類や、子どもたちが学校で使う教材を印刷するために、都市部まで長距離移動し、印刷サービスを利用している現実がありました。ブラザーは、株式会社Dots for(以下Dots for)とのコラボレーションにより、電気のない農村の産業創出や生活の向上に貢献する「村の印刷サービス」を始めています。

関連するSDGs

アフリカ地方部の制約を通信とデジタルで解決するDots for 

Dots for はアフリカ地方部の制約をなくすために活動する日本発のスタートアップ企業です。農村の住民に経済力や能力を与え、生活を変えられるのは通信とデジタルであるとして、デジタル化の波から取り残されたデジタル・デバイド地域の解消を目指し、未電化のベナン・セネガル・ザンビア農村部に、太陽光パネルによる発電・給電装置とデジタルプラットフォーム「d.CONNECT」を搭載した通信インフラを設置。そこにアクセスできるスマートフォンを販売しながら、様々なデジタルサービスの提供を行っています。
Dots forの通信インフラが設置された農村において、住民はスマートフォンを購入すれば、「d.CONNECT」アプリからオンラインでできる仕事を請け負って報酬を得るだけでなく、低価格で充電もできます。また学習動画コンテンツを視聴して職業的なトレーニングを受けられ、さらにそこでは農具や工具から、バイクなどの機械、牛などの畜産物までも分割払いで購入可能。農村にいながら様々な商売を始めることができるのです。「d.CONNECT」で村の生活は一変しました。

アフリカ地方部における印刷の課題

そのDots forがどうしても無くしたい農村の制約に「印刷」がありました。アフリカの国々でも公的な手続きから商業、学習分野など、様々な場面で印刷物が欠かせず、大きな印刷マーケットが存在します。しかし電気すらないアフリカの農村では、村内に印刷・コピーを行う場所がないために、住民は数十キロ離れた都市部まで、コピー代よりもはるかに高い費用と時間を掛けて移動し、印刷やコピーをしているのです。学校関係の印刷需要が特に高く、時には印刷やコピーができなかった学生が授業に参加できないといった不利益を被ることも。アフリカ地方部において、水や電気などインフラの課題は世界中が認識し、その解決のために多くの団体や組織が存在する一方で、印刷サービスの課題は見過ごされていました。ビジネスや教育の機会損失にもつながるこの不利益をぜひ解消したいと、Dots forはアフリカでブラザーのプリンターや複合機を展開するブラザーインターナショナル(ガルフ)に声を掛けました。

アフリカの農村でブラザーのプリンターが稼働

アフリカの農村では高温多湿、ときに高温乾燥の気候のために、日中、家屋の窓は開け放たれ、風が強い日は砂も吹き込みます。精密機械である複合機には過酷な環境ですが、印刷サービスではさらに過酷な屋外の露店への設置も想定しなければなりません。ブラザーには、高熱にさらされながら、黒い筐体が砂塵で白くなるほどの厳しい環境で、開発陣が様々な問題を乗り越え、暑熱・砂塵対策を施された新興国向けインクジェット複合機がありました。ブラザーインターナショナル(ガルフ)は2024年から、それをベナンの農村に持ち込み、Dots forと共同でテストマーケティングを実施。教員や学生、役所手続きの必要な住民など多くの村民が続々と印刷・コピーに訪れ、印刷への強いニーズの存在と事業の手ごたえを確信します。それを受けブラザーは同社と「d.CONNECT」経由で印刷サービスを提供できるようにする開発を加速する一方で、これを足がかりとしたアフリカでの事業拡大と、持続可能な社会の実現への貢献を視野に、同社と業務資本提携を結び、出資を行いました。

持続可能な印刷サービスが生み出す産業と、アフリカの可能性

テストマーケティングでは、需要だけでなく事業採算性の検証にも重点が置かれました。一過性の途上国支援ではなく、持続可能な事業として成立させることで、農村に新たな産業と雇用を生み出すことができるからです。こうして両社で持続可能なビジネスモデルが確立され、2025年10月、ついにベナンで、ブラザーのインクジェット複合機を使った「村の印刷サービス」が本格的にスタートしました。
それまで農村において印刷は「街まで出て行わなくてはならない作業」でした。そこにかかる多額の費用と時間から、必要でも諦めざるを得ないこともありました。しかし、それが村で可能になりました。現地では中学生ほどの女の子から「今までは一時間ぐらいかけて町までコピーをしに行かないといけなかったのが、村で同じぐらいの価格でできて嬉しい」という声も聞かれました。平均年齢がわずか19歳というアフリカにおいて、この事業は若者の未来の可能性を広げる取り組みでもあるのです。

ブラザーは、Dots for社との協業による印刷サービスにより、アフリカにおける新たな価値創出とSDGsの達成に事業を通して貢献し、アフリカの農村の可能性と未来を広げていきます。

関連リンク

Dots for Inc.
https://dotsfor.com/jp
(「Dots for Inc.」のサイトへリンクします)

SDGs POINT

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」には、“全ての人々の、基本的サービスへのアクセスを確保する”ターゲット(11.1)があります。ブラザーは、Dots forとの協業による「村の印刷サービス」によって、電気のないアフリカの農村に、生活に欠かせない公的な手続きや、学習に必要な印刷・コピーサービスを提供することで、現地の生活を支え、持続可能な社会の広がりに貢献しています。

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