名古屋名物として有名な「ういろ」。その切れ端を使って作られた紙があるんです。その名も「ういろペーパー」。誕生のエピソードを、株式会社 大須ういろ 代表取締役の村山 賢祐(むらやま けんゆう)さんにうかがいました。
ういろペーパー誕生のきっかけ

株式会社 大須ういろ 代表取締役 村山 賢祐さん
形のよい「ういろ」を作る上でどうしても出てしまう「切れ端」があります。それらを廃棄するというのが一般的なんですが、これが「もったいないなあ」「何かに使えないかなあ」というのは、常に思っていたことでした。大須ういろとしては、20年ほど前からういろのパッケージに、古紙含有率100%の紙を使ったり、印刷にベジタブルインクを使ったりと、ずっと環境への対応は行ってきました。そんな弊社の姿勢を知っているパッケージ屋さんから、「実は、ういろで紙がつくれるかもしれませんよ」と提案いただいたのが、きっかけです。そこからは、「絶対やりたい!」「やれるならどんどんやろう!」そればっかりでした(笑)
製紙業者との連携プレー

大阪にある山陽製紙とタッグを組んで開発に取り組みました。もともとコーヒーかすや、りんごやみかんなどの皮を使った紙をつくられているメーカーですが、納得がいくものができるまでには、実は1年半の時間が必要でした。ういろの原材料はお米。熱を加えるとねばねばする特性がありますよね。これが紙づくりには大変なハードルになりました。さらに、どうせ紙を作るなら「ういろの廃棄物を2割はいれてほしい」というオーダーをしたこともさらにハードルを上げてしまいました(笑) 紙を作るとき、紙を平たい状態にしてから大きなアイロン型のローラーでその中を通って乾かす、という工程があるんですね。この時、お米の粘り気がジャマしてくっついてしまうんです。これが大きな課題でした。試行錯誤の末、いよいよ初めて工場で量産するという日、私たちはワクワクしながら立ち会ったんですが、製紙会社のみなさんは「大丈夫だろうかとずっと胃がキリキリしていた」と後で知りました(笑)
ういろの新たな物語

「棹(さお)ういろ」3本入
こうして誕生した「ういろペーパー」は、現在、大須ういろの定番商品「棹(さお)ういろ」の2本入りと3本入りのハコとして利用しています。和紙のような手触りで、光に透かしていただくと、ところどころ透明にみえる部分が見え隠れします。ここが「ういろ」部分。黒いつぶや茶色いつぶがあずきの皮などの部分です。これらが微妙にまざって紙に「表情」がうまれました。
棹ういろの箱の中にこの「ういろペーパー」のご紹介を「しおり」として入れました。お客様がハコを開けられた時、「あれ?これなんだろう?」と新たな物語に気づいていただけたら楽しいかなと思っています。今後は、掛け紙のようなものや、弊社の会社で使う封筒や名刺などのコミュニケ―ションツールにもこのういろペーパーを使っていけたらと考えています。
株式会社 大須ういろ 代表取締役 村山 賢祐さん


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