2023.11.07

豊川市役所公園緑地課 成瀬 庸孝さんのSDGs

インクルーシブな公園づくり

2023.11.07

障がいがあってもなくても、そこを訪れた人が、みんな一緒に遊べるように工夫された「インクルーシブ」な公園が、ここ数年、全国各地で設置される動きがでています。
昨年3月、愛知県内で初めて「インクルーシブ」をテーマにリニューアルされたのが、豊川市の豊川公園。豊川市役所公園緑地課の成瀬 庸孝さんにお話をうかがいました。

愛知県内初のインクルーシブ公園

成瀬 庸孝さん

豊川公園は市内の中心にある最も古い公園で、運動公園として昭和20年代から市民に親しまれてきました。開園から60年以上経過して施設が老朽化していること、時代とともに公園の利用の仕方が変化してきたことなどを理由に大規模なリニューアルをすることになりました。そこで知的障害や子育て支援、肢体不自由、視覚障害などに関する各種団体のみなさんや、民間の医療療育センターなどにもヒアリングを重ね、インクルーシブな公園づくりを目指しました。公園内の「こども広場」には、インクルーシブな遊具を5つ設置しています。例えば「登る」「滑る」「走る」といった機能が、車いすのままでもできるような広めのスロープがついている遊具。赤いドーム型の遊具では、「登る」「潜る」機能が楽しめる上、クールダウンスポットといって、精神的に不安定なお子さんが落ち着きを取り戻す、隠れ家的スペースが中につくられています。また、「乗る」「揺れる」機能のあるスイング型の遊具は、体幹の弱い子でも寝そべって揺れて楽しめますし、円盤型の皿のようなシートに複数人乗れるものなどもあります。

遊具だけではない工夫

単にインクルーシブな遊具を置くだけではなく、そこへたどり着くまでの段階も大切。遊具を使う際の安全の確保はもちろん、遊具と遊具をつなぐ動線については、「ゴムチップ舗装」といって衝撃を和らげるような地面になっています。こうしたケガを防止する対策や、弱視の方が遊具の安全領域や通路を区別できるように、ゴムチップの色合いを変えています。また、広場の中にベンチを8か所設置しているんですが、これは休憩のためだけでなく、見守り用のスペースとしても対応できるようにしています。

多様性を経験する場所としての役目も

遊具のある広場は、以前は樹木がうっそうと茂っていて、ランニングやウォーキングの方が通過する場所でしたが、リニューアルから1年、ものすごく多くの方でにぎわっています。実際に障害のある方が多く利用されていて、中には市外から足を運んでくださっている方もいらっしゃいます。
これから公園を設置する方たちの視察も増えていて、我々も積極的にPRしています。子どもの頃感じた感覚や感情というのは、大人になっても無意識に残り続けるものだと思うんです。子どもの頃にこういった場所で障がいのある方たちと一緒に遊んで、自然に世の中の多様性を経験することは、心のバリアフリーを育むという意味でも大切なんじゃないかなと思っています。

取材先

豊川市役所公園緑地課 成瀬 庸孝さん

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この取り組みのSDGsを知ろう

「すぐわかるSDGs」では、SDGsの17の目標をイラスト付きで分かりやすく解説しています。気になるゴールを押すと、目標の解説を1分程度で読むことができます。この記事に登場したSDGsを見てみましょう。

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